第七話

349 名前: 1 ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/11/18(金) 23:43:46 ID:8o/e5AON0

ツンとの夕食を終えた先生は、近所の飯屋にいた
隣には、ショボンの父、シャキンがちびりちびりと舐めるように酒に口をつける
先生は同じように盃に口をつけるが、中身は水だ

(`・ω・') 「どうした? 水とは酒豪のお前らしくない。何かの願掛けか?」
先生 「ああ・・・・そんなものだ」

薄く笑い、ツマミの焼き鳥に手を伸ばす

(`・ω・') 「おい、そんなにツマミばかり食うな」
      「俺の酒の肴が無くなる」
先生 「・・・小さいことを言うな。ここの勘定は私が持つ。それでいいだろ?」
(`・ω・') 「・・・? 本当にどうしたというのだ?」
      「お前の道場はそれほど豊かではないだろうが?」
先生 「お前の道場に比べれば、ここいらの道場は皆、豊かとは言えんなw」
(`・ω・') 「そういう嫌味は好かんな・・・・・」

ぐい、とそれ以上の文句と一緒に酒を飲み干す

354 名前:
1 ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/11/18(金) 23:44:11 ID:8o/e5AON0

正直に言うとな、と先生は口を開く

(`・ω・') 「なんだ? 厄介事か? お前が酒断ちするときはいつも面倒がついてくる」
先生 「明日・・・・・真剣で果し合いをすることになった」
(`・ω・') 「・・・・・・・・なんだと?」
先生 「ついては、その立会人になって欲しく・・・」
(`・ω・') 「待て!」

先生の依頼を、シャキンの言葉が断ち切る

(`・ω・') 「・・・・・・・正気か?」
先生 「正気・・・・とは・・・・?」
(`・ω・') 「小さいとはいえ、お前も道場主であろうが? そう軽々に真剣などと・・・!」
先生 「小さいとは、ご挨拶だなw」
(`・ω・') 「まぜっかえすな!!」

ガン!と卓を叩く音で、沈黙が始まる

357 名前:
1 ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/11/18(金) 23:44:43 ID:8o/e5AON0

先生 「すまんが、止めないでくれ・・・・」
(`・ω・') 「・・・・・・・・・・・・」
先生 「私の力は、もう衰え始めている・・・・・もう、ここが最後の機会かもしれん」
(`・ω・') 「だから・・・・・・・見届けろと・・・・・?」

先生は何も言わない

(`・ω・') 「それほどの・・・・最後にふさわしいほどの・・・・相手か・・・?」

ああ、まだ歳は若いがな、と、頷きをもって返答する

先生 「本当なら・・・・あと十年後・・・・彼が全盛の時に立ち会いたかった・・・」
   「だが、それでは・・・・・・私には遅すぎる・・・・・!」

359 名前:
1 ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/11/18(金) 23:44:57 ID:8o/e5AON0

(`・ω・') 「そこまで言うなら・・・・もう何も言うまい」
先生 「ああ・・・ありが・・・」
(`・ω・') 「礼なら、試合の後に、もう一杯おごれ。それまでは聞きたくも無い・・・」
先生 「そうか・・・すまn」
(`・ω・') 「謝罪もな?」

笑いあう二人。しばらく、静かな酒が続き、

(`・ω・') 「で、相手の名は?」
先生 「ああ、確か・・・・・ドクオ、と言ったかな?」

先生が、その名を告げたとき、シャキンの表情が変わる

(`・ω・') 「まて・・・・そいつは・・・・まだ、十の半ばほどではないか・・・?」
先生 「おお、そうだ・・・・・もしや、知人か・・・・?」
(`・ω・') 「いや・・・・・・どの道、果し合いをするならば、情が移ってもいけまい」
先生 「・・・・・因果なものだな・・・・」
(`・ω・') 「ああ・・・・・本当に因果なものだ・・・・」

その後、二人は一言も口を効かなかった

367 名前:
1 ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/11/18(金) 23:49:41 ID:8o/e5AON0

毒男は、道場に来ていた
シャキンが道場主を勤める、ラウンジ流の道場に

('A`) 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

毒男は、先生と別れてすぐ、ココにきて瞑想を始めていた
瞑想し、今にも牙をむきかねない、自分の内なる獣を抑えていた

('A`) 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

家老の家に生まれ、何不自由なく暮らしていた毒男が、待ち望んでいた物
それは苦難という壁であった

('A`) 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

家に、親に守られて、何をするでも自分の力など関係なかった
しかし、今日・・・・・・・・・おそらく、人生最大の壁に出会えた・・・!

('A`) 「・・・・・・・・・・・w」

373 名前:
1 ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/11/18(金) 23:55:42 ID:8o/e5AON0

(`・ω・') 「若様・・・・・・!」

道場に、入ってきたのは幼い頃より、自分に武芸を叩き込んでくれた師であった

('A`) 「シャキンか?どうした?そんなに慌てて?」
(`・ω・') 「・・・・・ニュー速流と立ち会うとは、真ですかっ!?」
('A`) 「・・・・? おお、そうか! あのおっさんはそうだったのかw」
(`・ω・') 「笑い事ではございませぬ!」
('A`) 「シャキン・・・お前が唯一勝てぬかも、と言わしめる男だったかw」
(`・ω・') 「若! お考え直しください!」
('A`) 「止めるな!!!」

毒男のその言葉は、今まで見たことも無い、強い物だった

('A`) 「今まで、家の力に守られてきた俺が・・・・・自分の力で立ち向かえる壁に出会ったんだ」
    「この機会を逃せば・・・・・もう二度とでてこねぇかもしれねぇ壁にな・・・!」

毒男の意志は、かたかった・・・・・・・

381 名前: 1 ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/11/19(土) 00:03:14 ID:dyb/XYK00

('A`) 「・・・・・お前に教えてもらった技で・・・俺は壁を打ち 破る・・・・」
    「人生で最大かもしれない壁をな・・・・・・・!」
    「だから、シャキン。お前は・・・・・立ち会ってくれないか?」
    「俺が、一人で立ち上がる、その瞬間に・・・・・・・」

シャキンは、その毒男の言葉に、十秒の間を空けて、頷く

(`・ω・') 「もとより・・・・・そのつもりでした・・・・」
('A`) 「そうか・・・・もう、おっさんに頼まれていたのか・・・w」
(`・ω・') 「若・・・・・今日はもうお休みになられては・・・・?」
('A`) 「くくく・・・・お前の心配性もかわらねぇなwwwww」

んじゃ、どら、と立ち上がる毒男は、気づかなかった
夜の暗闇に立つ、シャキンの手に握られた木剣

その木剣が、毒男の左手に振り下ろされた・・・・・・!

('A`) 「!!!!!!?????????」
(`・ω・') 「明日・・・・果し合いの場には行かせて戴く・・・・」
      「ただし! ・・・・・・若様を行かせるわけには行きませぬ・・・・!」
('A`) 「シャキン・・・! きさ・・・・・・ま・・・・・!」

折れた左腕と、師の裏切りのショックで、毒男は意識を失った・・・・

391 名前:
1 ◆3mfWSeVk8Q 投稿日: 2005/11/19(土) 00:10:25 ID:dyb/XYK00

翌日、林に先についていたのは、先生であった
たすきをかけ、鉢巻を締め、師に装束である左前の衣装に身を包み、毒男を待っていた

(`・ω・') 「待ったか?」
先生 「ん・・・? なんだ、シャキンか。ドクオとか言うのはまだ来ないのか?」

シャキンの顔を見たせいか、張り詰めていた緊張が一瞬緩む
そのせいなのだろうか? 
先生は、冬でもないのにすっぽりと外套をまとったシャキンに違和を感じられなかった

(`・ω・') 「ああ、場所は変更だ・・・うちの道場で果たしあうぞ」
先生 「・・・・・! そうか・・・・彼はお前の門下の者だったか・・・・」
(`・ω・') 「果し合うとなれば、そのようなことはどうでもよかろう・・・!」

400 名前:
1 ◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/19(土) 00:16:54 ID:dyb/XYK00

二人が道場についた時、中には誰もいなかった

先生 「・・・・・? なんだ? ドクオとか言うのは、寝坊でもしたのか・・?」
(`・ω・') 「ああ・・・・寝坊だよ・・・・」

いぶかしげにしている先生
その横に立っていたシャキンは、突然走り出した

先生 「!? ・・・・おいおい、いきなりどうしたんだ・・・?」

シャキンの立つその位置。それは、道場の中心。すなわち・・・・・

(`・ω・') 「寝坊された若の代わりっ! 不肖拙者がおつとめいたすっ!!」
先生 「!!!!!!!!!????????」

ばっ、と脱ぎ捨てられた外套

その中には、先生と同じ

たすきと、死に装束に身を包んだシャキンがいた

403 名前:
1 ◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/19(土) 00:21:51 ID:dyb/XYK00

先生は、そこまでのくだりを話し終えると、一旦言葉を切る

( ^ω^) 「先生・・・?」
ツン 「お父様・・・?」

二人が疑問符を浮かべ、首をかしげると同時

先生 「ショボン・・・聞いていたであろう・・・?」
   「つまり・・・・・お前の父の仇、刀狩は・・・・・私だ・・・・」

私だ・・・・。その音は、大きな破裂音が重ねられ、消えた

ショボンが、ふすまを開ける音に

('・ω・`) 「先生・・・・・・・!!」

407 名前:
1 ◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/19(土) 00:26:48 ID:dyb/XYK00

先生は、どうした、とやさしく微笑み

先生 「今の私なら・・・・たやすく、仇を討てるぞ・・・・・?」
('・ω・`) 「そんな・・・・そんな・・・・うそ・・・・だ・・・・・!!」

駄々を捏ねる子供のように、眼に涙を浮かべ、必死に首を横に振るショボン

先生 「・・・・・・嘘だと思うなら、これを読むがいい・・・・・」

スッ、と先生が差し出したのは、毒男が持っていた、調査書であった
先生は、調査書の一番最後、調査結果のまとめの部分をショボンに開いて見せた

414 名前:
1 ◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/19(土) 00:30:38 ID:dyb/XYK00

調査書のラストは、こうまとめられていた

『以上を持って、七人を殺害した下手人と断定する。

 本来なら、死罪をもってしかるべきところであるが、

 当領地内にて、剣術指南役の任に就けるものは他に無し。

 ゆえに今度の件を、腕試しの果し合いと判断し、ニュー速流ならびに、

 その頭首を、剣術指南役として推挙するものとする』

420 名前:
1 ◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/19(土) 00:38:50 ID:dyb/XYK00

まず、まともな神経をしているものならば、自分の目を疑うだろう
そして、目が正常であると気づいたならば
今度は調査書の真贋を疑い、最終的には記した者の正気を疑うであろう内容だった

先生 「・・・・・それが・・・・・真実だ・・・・・・」
('・ω・`) 「え・・・・・え・・・・・・?」

ショボンは、調査書と先生の間を、何度も何度も視線を行き来させる

先生 「刀狩が、まったく噂にならないのは、そういう理由だ・・・・」
   「剣術指南役を決めるため、各々、腕に覚えがあるものが殺しあった」
   「それは流石に御家の恥じだ、さあ隠そう」
   「・・・・・そんなところだったのだろうさ・・・・」

語る先生は、ふるえ、ショボンはもはや先生から目を離せない

ショボンが、無意識に、刀を探し始めたその時・・・・・

(#^ω^) 「こんなのはうそっぱちだお!!!!!!!」

ツン・先生・('・ω・`) 「!?」

ブーンが吼えた

425 名前:
1 ◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/19(土) 00:43:58 ID:dyb/XYK00

立ち上がり、肩をいからせ、ブーンはショボンを睨みつける

(#^ω^) 「ショボン!! 君はそんなに自分を苦しめたいのかお!?」

続いて、ツンに

(#^ω^) 「ツンも何やってるお!? 先生は潔白だお! 何故そう言わないお!?」

最後に先生に

(#^ω^) 「先生は・・・・・! 先生は・・・・・・!!」

一息

(#^ω^) 「なんでそんなに殺されたがるおっ!!!!」
先生 「・・・・・ぐっがあ!?」

バゴっ!!

ブーンの拳は、先生を容赦なく叩き伏せた・・・・・

447 名前:
1 ◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/19(土) 01:23:07 ID:dyb/XYK00

先生 「何故だ・・・・? 何故、お前は嘘だと言い切れる・・・・?」

口の端から血を流し、先生は問う

( ^ω^) 「先生・・・・先生が・・・まだ全てを語っていないからだお」
('・ω・`) 「え・・・・・・・・?」
( ^ω^) 「わからないのかお? ・・・・先生はシャキンおじさんと・・・・」
     「果し合いをした・・・・までしか、語っていないお・・・・?」
('・ω・`) 「・・・・・・・」

言われて、確かに、と思い、だが、とも思う
この話の続きに、いや、そもそも、続きがあるのか?

( ^ω^) 「それに、先生にシャキンさん以外の六人を殺せるわけがないお?」
ツン 「そっ、そうよっ!? あの一件の後、ずっとアンタの家に通い詰めていたのよっ!?」
  「そんな時間、とてもじゃないけど・・・・・・・!」

456 名前:
1 ◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/19(土) 01:35:28 ID:dyb/XYK00

ブーンとツン、二人の畳み掛けるような証言に、ショボンはゆらぐ。しか し
だが、とショボンは言葉を紡ぐ

('・ω・`) 「だが・・・・夜は? さすがに、夜までは・・・」

二人とも見ていないだろう? と、言う前に
ため息と共に、ツンが馬鹿にするように重ねる

ツン 「アタシが起きている間ずっと起きていて、それで夜中は達人と殺し合い?」
  「・・・そんなことが出来るとでも思っているの・・・・?」
('・ω・`) 「・・・・・・・・!」

そんなことは・・・・・難しい、と思う。だが、飽くまで難しい止まりだ
十年前の先生に、不可能だった、とはっきりと確信できない。
迷い、悩むショボンに、ブーンが問い掛ける

( ^ω^) 「それに、先生には殺した人間の刀を奪う・・・・刀狩をする意味があるのかお?」
      「あるとしても、そんな話はまだ聞いてないお?」

だから、と、ブーンは続ける

( ^ω^) 「先生・・・・最後まで・・・・話してほしいお」

462 名前:
1 ◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/19(土) 01:46:54 ID:dyb/XYK00

先生は、一瞬、ブーンを睨みつけた
憎しみと、怒りと、悲しみとを混ぜ込んだ、濁った視線で
しかし、それも一瞬。視線の色は、悲しみの色に染まった

先生 「ブーンよ・・・お前は・・・・心底、私を楽にはしてくれないのだな・・・」
( ^ω^) 「それが、先生にとっての幸いだとは思えないんだお・・・・」

そうか、と先生は吐息し

先生 「だが、シャキンを手にかけたのは、紛れもない事実だ」
('・ω・`) 「・・・・・・!!」
先生 「これだけで、私はな、ショボン。お前に裁かれる理由には十分だと思うが?」

できれば、お前の手で、私を楽にしてくれ。そう言ったようにも聞こえた

('・ω・`) 「それが・・・・・・!」
先生 「・・・・・・・・・」
('・ω・`) 「それが、事実だとしても・・・・・・・!」
      「・・・・・・僕に・・・・・せんせいは・・・・・」

ショボンは泣いていた・・・・・

('・ω・`) 「そんな・・・・・・そんな顔をした先生は・・・・斬れません・・・!」
先生 「・・・・・そうか・・・・なら・・・全てを語ろうか・・・・・・」

469 名前:
1 ◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/19(土) 01:58:32 ID:dyb/XYK00

シャキンとの果し合いに勝利したとき。道場の戸が、爆ぜるように開かれ た
逆光の中にいたのは、左手を吊った、毒男だった

('A`) 「シャキン! おっさん!!」
先生 「・・・・!? ど、ドクオか・・・・・!!」
('A`) 「シャキン・・・? おい・・・・? ・・・・・・しゃ・・・きん・・?」

毒男は、ふりむく先生のことなどまるで眼中にないと言う様子で、シャキンに駆け寄る
手首と、腹から流れる血量は、すでに致死量だ
だが、毒男は呼びかけ続ける

('A`) 「おい! おいっ!! 起きろ!! 聞こえてんだろ・・・・!」
    「なあ・・・起きてくれよ・・・・今から・・・いまから・・・・」
    「このおっさんと・・・たたかうんだぜ・・・・?」

抱きしめれば、服が血で汚れる。しかし、毒男は手を離さない
シャキンの体温が、徐々に失われていくのがはっきりとわかる。それでも、離さない

('A`) 「おき・・て・・・・・・・う・・・うう・・・・」
    「うううううおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

先生 「・・・・・・・・・・」

毒男の泣き声は、これから生まれる、一体の怪物の産声のようであった・・・・・

472 名前:
1 ◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/19(土) 02:05:29 ID:dyb/XYK00

毒男は、シャキンの小太刀を引き抜き、右手に構える

('A`) 「殺してやるっ! 殺してやるっ!! 殺してやるっ!!!」

技も何もない、ただただ振り回すだけの斬撃は、先生に届かない

先生 「やめろ・・・・・やめろお・・・・・やめてくれ・・・・・・!」

だが、斬撃以上に、毒男の殺意が、先生を切り刻む・・・・

('A`) 「お前が! お前がっ!! ・・・・ちくしょおおおおおおおおお!!」

先生 「・・・・・もう、やめてくれ・・・・・!!」

カキィン!!

硬い音を持って、先生の刀は、毒男の小太刀を弾く

('A`) 「ぐぅ!」

片手では、小太刀を支えることも出来ず、小太刀は道場の隅へと飛ばされた

477 名前:
1 ◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/19(土) 02:10:51 ID:dyb/XYK00

先生 「・・・・・・・・・・・・!」

先生は、泣き崩れる毒男に、何か言おうとして、何も言えないことに気がつく
毒男は、涙で真っ赤になった瞳を先生にむけ、言い放つ

('A`) 「てめぇは・・・・・てめぇはゆるさねぇ・・・・!」
    「楽に死ねるとおもうなよ・・・・?」
    「てめぇが、一番苦しむ方法で・・・・! あの世に送ってやる・・・!」

そう言って、毒男はシャキンの小太刀を持ち、道場から駆け出した

480 名前:
1 ◆3mfWSeVk8Q [sage] 投稿日: 2005/11/19(土) 02:18:51 ID:dyb/XYK00

その後すぐに、領内にある道場の道場主が、何ものかに殺された
一日後にはもう一人。二日後にはもう二人
間が空いて、五日後にはさらに一人。七日目の六人目で全ては終わった
全て、右手首を跳ね飛ばされ、腹部への刺突でとどめがさされ、刀が一本奪われていた

そして、事件が終わった二日後に、先生の枕元に風呂敷が置かれていた
中身は件の六人と、シャキンのものをあわせて七本の刀
そして添えられた手紙が一通。内容は、
 

『 こ れ で お 前 も お し ま い だ 』


とだけ、赤い血文字で書かれていた

先生の下に、城の役人が来たのは、それから一月後のことであった


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