第十話
75 名前: 1 ◆ndPkY/NmQ6
投稿日: 2005/12/08(木) 23:27:51 ID:dalMkfr5O
光が収まった時、二人は静かにそこに立っていた。
しばらくの静寂の後、内藤が呻き声を漏らしながら床に膝をついた。
長岡はそれを見てニヤリと笑った
しかし次の瞬間、長岡のつり上がった口元が歪む。
_く_ゞ
(シ○∀O)「チッ限界か‥‥」
長岡はそう呟きその場に崩れる様に倒れた。
内藤は何とか立ち上がり長岡に近付く
ヽ ゞ
(ツЮwO)「さあ、終わりだお。
装置の場所へ案内するお。そんでさっさと帰るお。」
_く_ゞ
(シ○∀O)「く‥‥」
たが内藤の体に異変が起きた
内藤の体が大きくよろめき、膝を付いた
ヽ ゞ
(ツЮwO)「なんだお‥‥これ‥‥?」
76 名前: 1 ◆ndPkY/NmQ6
投稿日: 2005/12/08(木) 23:31:07 ID:dalMkfr5O
自分の意志とは関係なく体から力が抜けていく
_く_ゞ
(シ○∀O)「始まったか‥‥」
内藤の体から光が散り始め、遂に変身すら解けてしまった
(; ^ω^)「こ‥‥これは‥‥?」
_く_ゞ
(シ○∀O)「ははははは‥‥どうやら俺の勝ちのようだな!!内藤!!」
床に伏したままの長岡が高らかに笑い声を上げた
そしてそれはこの事を予測していたかの様な口調だった
_く_ゞ
(シ○∀O)「古代人の言葉を無視し続けた結果だよ‥‥
なあ?何故力の光を手にすると半端な力しか持たない人間が怪人化し、俺たちは古代人の姿になれると思う?」
( ^ω^)「?」
77 名前: 1 ◆ndPkY/NmQ6
投稿日: 2005/12/08(木) 23:33:29 ID:dalMkfr5O
_く_ゞ
(シ○∀O)「光の力に残った微かな古代人の意志がその姿を教えてくれるからさ。
だが声が聞けない人間は自分の中のイメージが変身に使われる
力を制御出来るか否かと、この姿になるかならないかは必ずしもイコールではないんだ。
実際あの女の様に限りなくライダーに近い外観を持ちながら俺たち程の力を持たない奴もいれば
ドクオの様に怪人に近い外観を持ちながら俺たちに近い実力を持つヤツも居る。」
長岡は語りながらゆっくりと立ち上がる。
確実にダメージは与えているようだが、まだ変身が解けない所を見るとまだ少し余力が有るのだろう
_く_ゞ
(シ○∀O)「古代人の声‥‥それが教えてくれるのはその姿だけじゃない‥‥彼らの意志‥‥記憶‥‥そして楽園の姿だ!!
彼らの遠い記憶の中で俺は見た!!あの楽園こそこの星のあるべき姿だ!!あそこには真実があった!!
だが、お前はその声に耳を傾けようとしなかった。それ所か光の力と対をなす悪魔の力を使ったんだ。
ただでさえ、お前は力の光を手に入れてまだ日が浅い。完全に光と一つになる前にそんな事をしたんだ
光に残された古代人の意思がお前に力を貸すことを拒んでいるのさ。」
( ^ω^) (‥‥‥話長いお‥‥)
80 名前: 1 ◆ndPkY/NmQ6
投稿日: 2005/12/08(木) 23:47:06 ID:dalMkfr5O
_く_ゞ
(シ○∀O)「前兆は有ったはずだ。お前自身少しずつ力が弱まっているのを感じていただろう?」
内藤の脳裏にXARAが浮かぶ。
( ^ω^)(そうか‥‥あの時XARAは喋らなかったんじゃないお。僕が力を失いつつある前触れだったんだお)
_く_ゞ
(シ○∀O)「兎に角‥‥これで貴様はどうしようもないんだ。俺の勝ちさ。内藤。」
( ^ω^)「くっ‥‥」
にじり寄る長岡に内藤は後ずさりする。
「お前の勝ち?違うなぁ‥‥‥くくくく‥‥」
闇の中に笑いを含んだ声が響く。
二人の頭の中に流れ込むノイズ‥‥これは‥‥このノイズは!!!!
('A`)「くくく‥‥しけたツラしてんじゃねーよ。
わざわざ地獄から戻ってきてやったんだぜ?」
_く_ゞ
(シ○∀O)「貴様‥‥!!!!」
( ^ω^)「ドクオ!!!」
83 名前: 1 ◆ndPkY/NmQ6
投稿日: 2005/12/09(金) 00:03:46 ID:RzWe6HldO
( ^ω^)「嘘だお!!!お前は僕が‥‥」
('A`)「くくくく‥‥あれは偽物さ‥‥あの女の爆破がしくじった時に入れ替わったのさ」
( ^ω^)「だけどあの怪人の気配はお前の物だった筈だお‥‥」
('A`)「アイツはちょっとしたお遊びの産物さ。
変異中の怪人に意図的に接触する事でその人間の代わりに俺のイメージを使って変異させる。
そうすれば俺の意識を持った怪人を作ることが出来るのさ
コツを掴むまでは難儀したが古代人のテレパシー能力を使えばそれ程難しい事じゃない。」
_く_ゞ
(シ○∀O)「フン‥‥自慢気にベラベラとよく喋る‥‥
この俺を騙した事‥‥後悔させてやるぞ!!」
242 名前: 1 ◆ndPkY/NmQ6
投稿日: 2005/12/10(土) 23:23:56 ID:OnurFRYMO
長岡はドクオに殴りかかった。
だが内藤との戦闘で体に負った深いダメージから勢いを欠いたその拳はドクオに軽々と受け止められていた。
('A`)「ヒャハハハハハハ!!!メチャクチャ弱ってるじゃないか!?
そんなヒョロいパンチで俺を倒そうなんざカーチャンが作った卵焼きより甘いんだよ!!!!」
_く_ゞ
(シ○∀O)「貴様ッ‥‥!!!!」
('A`)「今までご苦労だったな‥‥超越者
そろそろ退場してもらうぜ!?」
ドクオは長岡の胴を素早く蹴りつけた。
長岡の体が突風に煽られた木の葉の様に吹っ飛ぶ
( ^ω^)「長岡!!!」
243 名前: 1 ◆ndPkY/NmQ6
投稿日: 2005/12/10(土) 23:26:03 ID:OnurFRYMO
_
(; ゚∀゚)「ぐ‥‥ハァハァ」
長岡の体から光の粒が散り始め、その体は元の物へと戻っていった
ドクオは最早長岡の存在を意に介さず内藤の元へと近づいていった
('A`)「ところで‥‥お前、面白い物を持ってるじゃないか」
ゆっくりと近づくドクオに内藤が身構え‥‥る寸前でドクオの姿が一瞬で内藤に近づき
気が付くと内藤の顔面を凄まじい痛みが襲っていた。
それがドクオに殴られた痛みだと気付いたのは、内藤がその場に崩れるときにドクオの突き出された拳を見たときだった。
244 名前: 1 ◆ndPkY/NmQ6
投稿日: 2005/12/10(土) 23:29:48 ID:OnurFRYMO
('A`)「おっと!!あんまり変な動きはするなよ
俺にとっては今のお前を殺す事なんか朝飯前なんだ
反射的に首の骨をペキョンとやっちまうかもしれないぜ?ペキョンってな。
ヒャハハハハハハ!!!!!!」
(; ^ω^)「ぐッッ!!!」
('A`)「安心しな。俺が欲しいのはそのブレスレットだけだ。
今更ゴミ同然のお前の命なんざ興味ねえよ。」
ドクオが乱暴に内藤の腕を掴みブレスレットを抜き取る
内藤は力を振り絞りドクオの腕を掴み返すが、ドクオに腹を思いっきり蹴られ、その場にドサッと音を立て倒れた。
('A`)「くくくく‥‥手に入れたぞ!!!悪魔の力!!!!」
( ^ω^)「止めるお!!!それはお前なんかに扱える力じゃないお!!!!心が壊れてしまうお!!!」
245 名前: 1 ◆ndPkY/NmQ6
投稿日: 2005/12/10(土) 23:32:31 ID:OnurFRYMO
('A`)「心?そんな物とっくにぶっ壊れてるさ。
それに、だ。俺が思うにこれは違う資質なんだよ。」
( ^ω^)「?」
('A`)「悪魔の力と光の力‥‥それらを扱うのはまた別な資質だと言っているんだ。
心が壊れる?それは自分の中に芽生えた大きな力に無理矢理ブレーキをかけるからさ。
じゃあ理性なんざ無い人間ならどうだ?答えは簡単だ。ブレーキを失った力は果てしなく加速していく!!
そもそも力ってのは必ずしもコントロールしなきゃならない訳じゃない。
自分が力そのものと成って突っ走ってくのも結構快感なんだぜ!?
ただぶっ殺すだけなら十分それで事足りるしなあ!!!ヒャハハハハハハ!!!!」
141 名前: 1 ◆ndPkY/NmQ6
投稿日: 2005/12/13(火) 02:12:22 ID:aswC1nsDO
( ^ω^)「お前は悪魔の力を使いこなせると言うのかお!!!!!」
('A`)「使いこなす?そいつは違う。
俺は振り下ろされんとする剣だ。打ち砕くだけの鉄槌だ。そこにあるのはただただ破壊と暴力さ。
否、そもそも<悪魔の力>なんて言葉すらもうすぐ意味を失う。
今それは俺そのものになるんだからな!!」
ドクオが右腕にブレスレットをはめ、高らかに腕を天にかざした。
( ^ω^)「やめるお!!!!!」
ドクオの体から深紅の光が溢れ出す
激しい光の中でドクオのシルエットが徐々に変わっていく
142 名前: 1 ◆ndPkY/NmQ6
投稿日: 2005/12/13(火) 02:14:21 ID:aswC1nsDO
('A`)「前に強い奴は三種類居るって言ったよな。
力が強い奴、頭がいい奴‥‥それと三つ目は頭がぶっ壊れてる奴さ。
力を支配する訳じゃない、ただ力を振るうために手段を‥‥
いや、目的すらもいとわず何かを‥‥何もかもをぶっ壊せる奴だ。」
._ヽ∧!
(−シ○)「つまりは‥‥俺のような奴だ。
そんな奴が新しい世界を支配する神になるんだ
どうだ!?ゾクゾクするだろう?」
一つ眼のライダーへと姿を変えたドクオが揚々と語りかける
_
( ゚∀゚)「それが新しい悪魔の姿か‥‥」
143 名前: 1 ◆ndPkY/NmQ6
投稿日: 2005/12/13(火) 02:19:53 ID:aswC1nsDO
._ヽ∧!
(−シ○)「そうだ。そしてこの世界の新たな神の姿さ!!ヒャハハハハ!!!」
( ^ω^)「くっなんておぞましいノイズを放つんだお!!!」
._ヽ∧!
(−シ○)「さて‥‥扉が開くまでもう時間が無い。
俺は<最後の間>に行く。」
( ^ω^)「<最後の間>!?」
_
(; ゚∀゚)「‥‥<扉>の制御装置がある部屋さ‥‥そして‥‥」
._ヽ∧!
(−シ○)「そう。全ての<力の光>が閉じこめられている部屋でもある。
なあ?もし悪魔の力を持った状態で、さっき言った要領で俺のダミー怪人を作ったらどうなると思う?
悪魔の力を持った最強の怪人の軍団を造り上げる事ができるんじゃないか!?」
145 名前: 1 ◆ndPkY/NmQ6
投稿日: 2005/12/13(火) 02:48:26 ID:aswC1nsDO
( ^ω^)「なんだって!?そんな事が‥‥」
._ヽ∧!
(−シ○)「出来るはずだぜ。ま、どんなモノが出来るかは知らねえがな
もしも制御出来なくてもそれはそれで面白い」
そう言いながらドクオは一人スタスタと部屋の奥で閉ざされている門の前に歩いていった
._ヽ∧!
(−シ○)「あ!!そうそう。お前ら念のため死んでもらうわ。」
ドクオがパチンと指を鳴らす。
それと同時に光がドクオの横の何もないところで光ったと思うと、そこに犬の怪人が立っていた
._ヽ∧!
(−シ○)「怪人の中では雑魚クラスだが‥‥今のお前達なら十分だろう」
76 名前: 1 ◆ndPkY/NmQ6
投稿日: 2005/12/14(水) 20:10:24 ID:31KasPL8O
( ^ω^)「待つお!!」
._ヽ∧!
(−シ○)「次は地獄で会おうぜ。クソ共。ヒャハハハハ!!!!」
内藤の声も虚しく奥の扉へとドクオは消えていった。
内藤はそれを追いかけようとしたが怪人が扉の前に立ちふさがった
∧_∧
<`ェ´>「ガルルルルル!!!」
(; ^ω^)「くっ!!」
_
( ゚∀゚)「どいていろ!!内藤!!」
_く_ゞ ∩
(シ○∀O)彡 「変身!!!!!!」
( □⊂彡
|=◎=|
し ⌒J
飛びかかってきた怪人の体を一瞬で変身が完了した長岡が取り押さえる
( ^ω^)「長岡!?」
77 名前: 1 ◆ndPkY/NmQ6
投稿日: 2005/12/14(水) 20:12:50 ID:31KasPL8O
_く_ゞ
(シ○∀O)「話の間ずっと光の力を体力の回復に回していたからな‥‥
‥‥だが正直ギリギリだ‥‥それにコイツを倒せたとしてもドクオに追い付く事は不可能だ。
‥‥‥内藤‥‥逃げろ。お前の足なら逃げきれる」
( ^ω^)「!?
嫌だ!!!!!!僕は‥‥」
_く_ゞ
(シ○∀O)「力を無くしたお前に何が出来る!!!!!」
内藤の言葉を長岡の叫びが遮る
内藤は地面に伏せていた目をドクオが消えていった扉に向けた
( ^ω^)「それでも‥‥ッ!!!」
_く_ゞ
(シ○∀O)「内藤!?」
( ^ω^)「それでも僕は行くお!!」
_く_ゞ
(シ○∀O)「馬鹿が!!想いだけで何が成せると言うんだ!?」
78 名前: 1 ◆ndPkY/NmQ6
投稿日: 2005/12/14(水) 20:15:02 ID:31KasPL8O
( ^ω^)「分かっているお。それでもッ‥‥!!!!!!
それでも貫かなきゃならない想いがあるんだお!!!!!!!」
_く_ゞ
(シ○∀O)「チッ‥‥わかったよ。
行っちまえ。どうせお前は俺に殺される筈だったんだからな‥‥。
行って勝手に死んじまえ。」
ぶっきらぼうに言い放つ長岡に内藤はニッと笑い返した
( ^ω^)「長岡にそう言われたら絶対死ぬわけにはいかなくなったお」
長岡は怪人の横っ面を殴りつけると、内藤の言葉に少し皮肉な笑みを返した
_く_ゞ
(シ○∀O)「フッ。相変わらす良い性格だよ。お前は」
( ^ω^)「お前もだお。長岡。」
少しの間二人は笑みを向けあう。
そしてもう一度扉に向かう内藤の背中に長岡は声をかけた。
79 名前: 1 ◆ndPkY/NmQ6
投稿日: 2005/12/14(水) 20:17:08 ID:31KasPL8O
_く_ゞ
(シ○∀O)「すぐに追い付く。無理はするなよ」
( ^ω^)「ああ。主役は僕なんだから遅くなっても美味しいところはやらないお。」
二人は互いの手の甲をコツン、と当てた。
( ^ω^)「行ってくるお」
_く_ゞ
(シ○∀O)「ああ。征ってこい」
内藤は勢い良く扉の奥へと走り出す。
深い闇の中へ、光を失った希望が駆け抜けて行った
_く_ゞ
(シ○∀O)「アイツは約束破るとうるさいんでね。
手っ取り早く済ませてもらうぜ。半端なクソ化け物め。」
83 名前: 1 ◆ndPkY/NmQ6
投稿日: 2005/12/14(水) 20:32:49 ID:31KasPL8O
漆黒の闇の中、微かに見えるだけの下りの階段を内藤は疾走する。
まるで地獄まで続いているかのように長い、長い階段。
否、この先に有るのは本当に地獄かも知れない。
この向こうには悪魔がその死の牙を研いでいる。
それに対し力を失った自分に残っているのはただノイズを聞き取れる程度‥‥。
とはいえ、そもそも圧倒的な力の差ならば自分にいかほどの力があろうともこの向こうに待つのが死地であることに変わりはない。
それでも迷いはない。
僕は帰るんだ。あの夕日が照らす黄金色の世界へ。
その望みを失ったら光を追いかけることは出来ない。
だから僕は走るんだ。
もう一度光輝く未来を走るために。
深い深い闇の中を‥‥。
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