第五話

656 名前: 1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/18(金) 00:49:37 ID:9JNZ/lDSO

どれくらいの間気を失っていたのだろう。
内藤が目を覚ますとぽっかりと開いた半壊の窓からは黄色のかかった光が射し込んでいる。

( ^ω^)「う‥‥ここはどこだお‥‥は!!あの男は!?」

内藤は急いで体を起こし、周りを見渡した。が、何の気配もなく、埃まみれの廃墟はただただ静かなだけだった。

( ^ω^) (生き延びた‥‥お‥‥。)

657 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/18(金) 00:50:24 ID:9JNZ/lDSO

内藤は安堵の溜息を吐きその場で寝返りをうつようにゴロンと仰向けに なった。
ひび割れた天井には今は光を失った蛍光灯が規則正しく並んでいる。

( ^ω^) (‥‥マスターに報告しなきゃだお。)

内藤は上体を起こし自分の体の調子を確かめる。
怪我は殆どふさがり、痛みは無い。
つくづく便利な体になってしまったものだと苦笑しながら、立ち上がり、壊れた扉を通り過ぎて廃ビルを後にした。

658 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/18(金) 00:51:49 ID:9JNZ/lDSO

(´・ω・`)「やあ、ホライゾン君。久しぶりだね」

開店準備中の薄暗いバーボンハウスでマスターがいつもののんびりした口調で話しかけてきた。
内藤は相変わらずのマスターに笑みを向けながら席についた

( ^ω^)「そんなに久しぶりかお?この前会ったばっかりの気もするお?」

(´・ω・`)「ここの所出番が無かったからね。」

( ^ω^)「???」

(´・ω・`)「気にしなくていい。ただの独り言だよ。
       ‥‥‥‥それより‥‥そのボロボロな様子を見ると‥‥また戦闘があったようだね」

内藤は改めて自分の体を見てみた。確かに服はボロボロであちこちが埃で白く汚れている。
こんなおしゃれな場所に汚い格好で、内藤は少し申し訳ない様な気分になってしまった。

14 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/19(土) 09:58:48 ID:hNpiGQgvO

(´・ω・`)「そうか‥‥そんなことが‥‥」

白いカップから湯気とコーヒーの香ばしい香りが上がる
内藤はそれに目を落としながら先ほど廃ビルの中で起こった事を話した

( ^ω^)「それで‥‥明日学校に休学届けをだして暫く実家の方に住もうと思いますお。」

(´・ω・`)「どうしてだい?随分と急な話じゃないか。」

( ^ω^)「奴らは僕を狙っていますお。
      戦闘になったとき、此処よりも周りに迷惑をかけなくて済みますお」

(´・ω・`)「そうかもしれないね‥‥。」

15 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/19(土) 10:06:23 ID:hNpiGQgvO

マスターはカップを口に運び、一口だけコーヒーをすすった。

(´・ω・`)「それなら‥‥明後日は私が実家まで送っていこう。明後日なら定休日だしね」

( ^ω^)「え!?大丈夫ですお。一人でも‥‥」

(´・ω・`)「いや。前に行ったときはゴタゴタしてキチンと家の中を調べる事が出来なかったからね。
      それにあそこに住むとなれば食べ物や日常品やら‥‥色々必要になるだろう?」

( ^ω^)「‥‥すみませんだお。それじゃあお言葉に甘える事にしますお。」

内藤は少しぬるくなったコーヒーを飲み干し、椅子から立ち上がった。

17 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/19(土) 10:08:26 ID:hNpiGQgvO

( ^ω^)「それじゃあもうすぐ開店の時間だから‥‥。そろそろ帰り ますお。」

(´・ω・`)「あ!!ちょっと待っててくれないか?」

マスターは一人で二階に上がり、暫くすると茶色の紙袋を持って戻って来た。

(´・ω・`)「これをもらってくれないか?」

( ^ω^)「これは?」
内藤が手渡された紙袋の中を覗くと、青い蓋のタッパーが二つ入っているのが見えた。

(´・ω・`)「カレーだよ。つい、いつもの癖でジョルジュの分まで作ってしまってね。
       良かったら今日の夕飯にでも暖めて食べて欲しい」

( ^ω^)「ありがとうございますお。じゃあ明後日の朝に。また。」

(´・ω・`)「ああ。それじゃあね。」

内藤は挨拶を済ませると店の外に出た。
日が落ちた暗闇の中で内藤は足早に家路についた。

24 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 [sag] 投稿日: 2005/11/19(土) 11:32:32 ID:hNpiGQgvO

二日後、内藤がバーボンハウスの前に行くと外ではマスターが白いワゴン 車の前で煙草を吸いながら内藤を待っていた


人を待つときに煙草を吸うのは彼の癖らしい

( ^ω^)「おはようございますお」

(´・ω・`)「ああ。おはよう。
      荷物を後ろの席に積み込んでくれ」

( ^ω^)「マスター車持ってたのかお?」

(´・ω・`)「いや、知人に借りてきたんだ。荷物も有るだろうしバイクよりこちらの方がいいだろうからね」

( ^ω^)「わざわざすみませんだお。」

内藤は荷物を後ろの座席に積み込み、自身は助手席に座った。

75 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/19(土) 21:01:53 ID:hNpiGQgvO

マスターも運転席に座るとキーを回しエンジンを動かした

(´・ω・`)「さ‥‥行こうか。」

( ^ω^)「はいだお」

( ^ω^) (そう言えば車乗るの久しぶりだお。)

都会暮らしを始めてからは電車に乗るか、自分のバイクに乗るかでバス以外(とは言えバスに乗るのも稀なのだが)自動

車に乗るのは本当に久しぶりだった。
内藤は車の窓を開けた。
心地よい風が内藤の頬を撫でる。

(´・ω・`)「こうしていると昔を思い出すね。」

( ^ω^)「そうですねだお。」

76 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/19(土) 21:04:31 ID:hNpiGQgvO

内藤は昔マスターの運転する車で、ジョルジュと三人で海に行ったことを 思い出した。
多忙な内藤の父は内藤をマスターに預ける事が多かった。

(´・ω・`)「‥‥‥‥そろそろ高速入るね。窓、閉めるよ。」

車のパワーウインドウが微かな音を立て閉じられる。
内藤は窓ガラス越しに外の風景を遮る防音壁に目を向けた。

( ^ω^)(長岡‥‥お前は今どこにいるんだお‥‥‥?)

79 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/19(土) 21:28:58 ID:hNpiGQgvO

( ゚д゚ )(奴は生き延びたか‥‥。否、そうでなくては困る。)

薄暗闇の中で謎の男が一人佇む。
彼は内藤の姿が映し出された光る壁を見つめ微かに笑っていた。

「調子はどうだ?裏切り者の旦那?」

映像の光だけが辺りを照らす闇の中に皮肉をたっぷりと含んだ声が響きわたった。
男が壁に手をかざすと映像は消え、辺りは深い漆黒の闇に包まれた。

( ゚д゚ ) 「裏切り者とは心外だな。ドクオ。」

ドクオ、と呼ばれた男は低く、闇の中に響く言葉を発しながら現れた。

80 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/19(土) 21:30:20 ID:hNpiGQgvO

('A`)「はっ。お前なら奴にトドメを刺すくらい楽勝だったろうに。
    何故ヤツを殺さなかった?」

( ゚д゚) 「私にも考えがあってやった事だ。貴様にとやかく言われる筋合いは無い。」

('A`)「そうかい。じゃあ俺も好きにやらせてもらうぜ」

ドクオはまた深い闇の中に溶けるように消えていく。

( ゚д゚ ) 「待て。貴様の仕事は力の適合者を探す事だろうが。ヤツの始末は私の‥‥‥」

('A`)「うるせぇよ。こっち見んな。」

男の問いに闇の中に消えたドクオの声だけが返事を返す。
それはまるで闇そのものが言葉を発しているようだった。

( ゚д゚ )「チッ。下衆が‥‥。」

98 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/19(土) 23:13:48 ID:hNpiGQgvO

(; ^ω^)「ウッ!!」

二人が実家の近くの森に入り、家までもう少しと言うところで内藤をあの感覚が襲う。
心配そうにマスターが内藤に声をかけた。

(´・ω・`)「どうした!?ホライゾン君!?」

(; ^ω^) 「ノイズだお‥‥それも五つ‥‥凄いスピードでこっちに迫ってるお
      マスター。車を止めてくれお。僕が食い止めるお」

(´・ω・`)「そんな!?君を置いて行くわけには‥‥」

99 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/19(土) 23:15:04 ID:hNpiGQgvO

( ^ω^)「良いから!!!!早くだお!!!!」

(´・ω・`)「‥‥‥わかった。無茶はするなよ。」

マスターは車を止め、内藤を下ろすと急発進し、轍を疾走していった。
内藤はそれに背を向け、ゆっくりと両手を左に伸ばす。

     (^ω^)⊃ 「変身!!!!!」
     (⊃◎:)
    /  ヽ

叫びと共にベルトから放たれた激しい光が内藤を細胞レベルで全く違う物へと作り替えていく

102 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/19(土) 23:32:05 ID:hNpiGQgvO

森の中に複数のエンジンの音が響く。
鬱蒼と茂る森の中でバイクを飛ばす集団があった。
ただ、そのバイクに乗っているのは人ではない。
長い爪、鋭い犬歯、毛むくじゃらの体。
そこにあったのは醜悪な犬の怪人達だった。

彼らは一つの物を目指し走っていた。完全な存在への嫉妬、憎悪、憧れ、殺意。様々な物を抱えながら‥‥。

103 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 [sag] 投稿日: 2005/11/19(土) 23:34:31 ID:hNpiGQgvO

ふと、怪人達は前方で何かが光るのを見た。
と、その直後、怪人達の乗っていた五台のバイクの内三台がこの世から消え去っていた。


            ノ ̄ ̄\                       _ _ ___ _ __ _
 ≡. ヽ   ! V /  / ̄ヽ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄__ _ _ __  _ __ _
≡ (=ЮωO)⊃I   /     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                
≡ (⊃¥)   P  ヽ    ________________  _ _ ___ _ _ __ __ _
 ≡/  ヽ    \ ヽ_/___________________ _ _  _ _  _
            ヽ___ノ


内藤はビームを撃ち終え、生き残った2匹に対し警戒の構えを取った

134 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/20(日) 08:46:03 ID:N3JLQfWAO

残りの二匹は内藤の目前で交差し体当たりを仕掛けて来た。
内藤は横に転がりそれをかわす。

怪人の一人がUターンし内藤に再度バイクで突進を仕掛ける。
バイクは内藤の目前で跳ね上がり、内藤を押し潰そうとしていた。

 ヽ   !
(= ЮωO)「ブーンキック!!!!!」

だが、内藤は素早い後ろ回し蹴りを繰り出し、バイクを怪人ごと蹴り飛ばした。
その衝撃でバイクは吹っ飛び、大木につっこんて怪人を巻き込みながら大破した。

135 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/20(日) 08:46:38 ID:N3JLQfWAO

 ヽ   !
(= ЮωO) (この怪人‥‥数は多いけど大したことはないお!!!!)

最後の一人も猛スピードで内藤につっこんで来る。

 ヽ   !
(= ЮωO)⊃ 「ブーンチョップ!!!!!」


内藤はヒラリと横に逸れてそれを避け、すれ違いざまに手刀を怪人の胴体めがけてなぎ払った。

怪人はバイクの上で真っ二つになり、バイクと共に崩れる様に倒れ、やがて止まった。

 ヽ   !
(= ЮωO) (よし!!!マスターを追いかけるお)

162 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/20(日) 15:58:28 ID:N3JLQfWAO

内藤は最後の一人が乗っていたバイクを起こし、それに乗り込むとアクセ ルを吹かすと
マスターの去った方へバイクを飛
ばした。



(´・ω・`)y−~「無事だったか。よかった‥‥」

家の外で車を止め、心配そうに待っていたマスターは内藤の無事を確認し胸をなで下ろした

( ^ω^)「ええ。早速中を調べてみるお」

(´・ω・`)「ああ。ちょっと待ってくれホライゾン君」

マスターは車の後部座席で何かを何かを探し始めた。

163 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/20(日) 16:01:07 ID:N3JLQfWAO

( ^ω^)「マスター?何をしているんだお?」
(´・ω・`)「お。あったあった。
      ここに住むならついでに掃除もしなきゃならないだろう?」
マスターは内藤にほうきとちりとりを手渡した。

( ^ω^) (‥‥‥‥律儀な人だお‥‥‥‥‥)
(´・ω・`)「ラボは以前調べたから最後にしようか。取りあえず2時間後にラボで待ち合わせにしよう。」

( ^ω^)「わかりましたお。」

164 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/20(日) 16:01:48 ID:N3JLQfWAO

(´・ω・`)「自家発電機の燃料と電源は入れておいた。前と違って電 気も点くし、水道も出る。
       この家は水道管をひかず井戸の水を電気で組み上げているからね。コンロはキャンプ用のツーバーナーが

あるから暫くはそれで代用してくれ。」

( ^ω^) 「すみません。本当に何から何まで‥‥‥」

(´・ω・`) 「いいんだよ。君は私の息子の様なものだからね。
        さ、そろそろ始めようか。鍵は開けてある。合い鍵は後で渡すよ。」

( ^ω^) 「はい。取りあえず自分の部屋から掃除してきます。」

(´・ω・`)「わかった。じゃあ二時間後にラボで。」

二人は掃除道具を抱え、家の中へ入っていった。

167 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/20(日) 16:19:26 ID:N3JLQfWAO

( ^ω^) 「ふう‥‥‥あらかた片づいたお‥‥」

自分の部屋と寝室を片付け、布団を干した所で約束の二時間が迫ってきた。
内藤は自分の腕時計をのぞき込んだ。
律儀なあの人のことだ。そろそろラボで待っているだろう。

内藤もラボへと移動しようとした時、突如として押し寄せて来た感覚にめまいを覚え、フローリングの床に膝を着いた。

( ^ω^)「声!!!!<ノイズ>
      ‥‥‥‥しかもこれは‥‥10‥‥20‥‥いや‥‥もっと多い!!!!!!さっきの奴らかお!?」

170 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/20(日) 17:02:34 ID:N3JLQfWAO

( ^ω^)「マスター!!!!!大変だお!!!!!」

内藤がラボの扉を開け叫ぶ。
マスターは煙草を吸いながら内藤を待っているところだった。

(´・ω・`)「やあ、時間が余ったからラボの掃除もやって‥‥‥‥」

( ^ω^)「それ所じゃないお!!!!
      奴らが迫っているお!!!!もう完全に囲まれて‥‥‥‥」

突然、背後の窓ガラスがわれ怪人が躍り出る様にラボの中へと入ってきた。

( ^ω^)「くそっ!!!!マスター!!!!!隠れているお!!!!!」


       (^ω^)⊃ 「変身!!!!!!!」
       ⊃◎:)
      /  ヽ

かけ声と共にベルトから激しい光が溢れる。

        ヽ   !
       (=ЮωO)⊃
       (⊃¥)
      /  ヽ

198 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/20(日) 21:12:06 ID:N3JLQfWAO

(´・ω・`)「ホライゾン君!!!」

マスターは驚きの声を上げる。
話には聞いていたものの、内藤の変身した姿を見るのは初めてだった。


 ヽ   !
(= ЮωO) 「トウ!!!」

内藤のパンチが怪人を打ち抜く。怪人は呆気なく倒れ、光へと還っていく。

マスターはハッと我に返り、内藤に声をかけた。
(´・ω・`)「ホライゾン君!!!!取りあえずバリケードを作って応戦しよう!!
      このままじゃ、そうはもたないぞ!!!」

199 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/20(日) 21:13:51 ID:N3JLQfWAO

 ヽ   !
(= ЮωO)「すみませんだお。僕は奴らを食い止めますお。その隙に!!!!」

(´・ω・`)「分かった!!!任せてくれ!!!」

怪人が二人、三人と侵入してくる。
内藤は怪人の攻撃を避けながら確実に反撃を叩き込む。

(´・ω・`)「くっ!!これで‥‥!!!!」

マスターが扉の前に本棚を倒す。

(´・ω・`)「ホライゾン君!!!!これで少しは保つはずだ!!!!」

 ヽ   !
(= ЮωO)「分かったお!!!!うおおおおおお!!!!!」

内藤は次々と怪人を撃破していく。
内藤は数々の戦いで確実に実力を付けていた。

203 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/20(日) 21:24:07 ID:N3JLQfWAO

('A`) 「チッ何を手間取ってやがるんだ?」

ドクオは相変わらず不機嫌そうな顔で家の外から状況を伺っていた
思ったように行かないのが余程頭に来るのか、その標準はいつもより更に苛立っていた。

('A`)「しゃらくせえ!!!何をやっているんだ!!!
   もういい、家ごとぶち壊しちまえ!!!」

ドクオは一番近くに居た怪人を蹴り飛ばしながら怒鳴り声を上げた。

('A`) 「甘ったるいんだよ。どいつもこいつも。」

206 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/20(日) 21:34:10 ID:N3JLQfWAO

 ヽ   !
(= ЮωO) 「何だお?敵の攻撃が止んだお?まだノイズは半分以上‥‥」

内藤が一人言のように呟いた時、ズズン、と大きな揺れが建物全体を襲った。

 ヽ   !
(= ЮωO) 「地震かお?いや‥‥‥まさか!?」

もう一度大きな揺れが起きる。
後ろでマスターがよろめき、机に手をついた。

 ヽ   !
(= ЮωO) 「奴らこの家を破壊して僕達を生き埋めにするつもりかお!?」

内藤が叫び声を上げたとき、またズン、と大きな揺れが起こる。

208 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/20(日) 21:40:36 ID:N3JLQfWAO

(´・ω・`)「何だって!?クソッ!!!!せっかく掃除したの に!!!!」

 ヽ   !
(= ЮωO)「そんなこと言ってる場合じゃないお!!!!早くどうにかしないと!!!!」

揺れはどんどん激しくなり、積み上げたバリケードが崩れ、残った本棚も倒れだした。

 ヽ   !
(= ЮωO)「くっ!!!どうすればいいんだお!?」

天井に亀裂が入り、内藤達の頭上に降り注いだ。

(´・ω・`)「!!!!!!!」

 ヽ   !
(= ЮωO) 「うわああああああああ!!!!!」

212 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/20(日) 21:50:47 ID:N3JLQfWAO

無惨に崩れた家を眺め、ドクオは愉快そうに高らかに笑い声を上げた

('A`) 「ヒャハハハハハ!!!!やったぜ。この世の中頭の良いヤツが生き残るんだよ!!!
     オラ!!!お前ら何してやがる!!!さっさと死体を引っ張って来いよ!!!」

ドクオは怪人達に怒号を飛ばしながら一人ほくそ笑んだ。

('A`)「くくくく。帰ったらアイツに奴の死体を見せつけてやる
    アイツが奴の死体を見た時の間抜けヅラを想像するだけで笑えてくるぜ。」

216 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/20(日) 22:15:44 ID:N3JLQfWAO

「おーい!!!ホライゾン君!!無事かい」

暗く深い闇の中に聞き覚えのある声がこだまする

「ええ、一応大丈夫だお。マスターは?」

「ハハ。あちこち痛いよ。
待っていてくれ。今灯りを‥‥クソ!!ライターを落としたらしい」

と、急に部屋の中が明るくなった。
マスターが明かりの方を見ると、光の源は内藤の左腕だった。

(´・ω・`)「便利だね。肝試しの時なんかは役に立ちそうだ。
       それにしてもこれは‥‥‥」

217 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/20(日) 22:16:30 ID:N3JLQfWAO

 ヽ   !
(= ЮωO)「たまたま崩れた本棚の裏に地下室への隠し階段が有ったなんて‥‥‥
     運がよすぎだお」

マスターは大きくため息をつき、辺りを見渡した。

(´・ω・`)「全く‥‥君のお父さんも趣味が悪すぎるよ。」

 ヽ   !
(= ЮωO) 「でも‥‥結局閉じ込められてるのには変わりないお。」

マスターはもう一度辺りを見渡した

部屋の中にはポツンと机が置かれているのと、布が被せられた何かが置いてあるだけだ。

218 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/20(日) 22:18:55 ID:N3JLQfWAO

(´・ω・`)「これは何だろうね?」

内藤は被せられた布を払いのけた。
そこには何かの生物を象った大きな像のようなものと、それの名前と思われる文字が刻まれたプレートが置かれていた。


<X−ARAMAKI>

         _,,..,,,,_
        ./ ,' 3 `ヽーっ
        l   ⊃ ⌒_つ
         `'ー---‐'''''"



 ヽ   !
(= ЮωO)「<X−ARAMAKI>‥‥‥?‥‥これ何だお?」

(´・ω・`)「もしかすると君のお父さんの日記にあった二つ目のオーパーツ‥‥。
     謎のオブジェクトってこれの事じゃないかな?」


221 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/20(日) 22:28:25 ID:N3JLQfWAO

 ヽ   !
(= ЮωO) 「これがかお?でも何の役にも立ちそうに‥‥」

内藤ががっかりしたような声を出しながら腕の光を向けると目の部分が急に黄色く輝いた

 ヽ   !
(= ЮωO) 「うは!?なんだお?」

内藤はそっとそれに触れようとするとビクッと動いた。
内藤は少し驚いたがそれに触ってみた。
その瞬間、それは光を放ち、形を変えていく。



    _,,..,,,,_
   ./ ,' 3 `ヽーっ
   〇  【о ⌒_つ
   `'ー---‐'''''"
   /《    |
   @     @ 



 ヽ   !
(= ЮωO)「こ‥‥これは‥‥」

228 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/20(日) 22:55:28 ID:N3JLQfWAO

('A`)「ったく。ちんたらやってんじゃねーよ!!
   さっさと見つけろよ。役立たず共め!!」

相変わらずドクオは部下達に罵声を振りまいていた。
と、怪人の一人の様子が変わった。どうやら何かを見つけたらしい

('A`)「お?見つけたか?クズでもやれば出来るじゃないか‥‥!!!!!」
突然、その怪人が居たところの瓦礫だらけの地面から光の柱が上がり、その怪人は消し飛ばされてしまった。
そして、どこからかバイクの排気音が聞こえてくる。

('A`)「くっ。まさか!?いや!!この気配はヤツの!?」

次の瞬間、ぽっかりと開いた穴から一台のバイクが飛び出してきた。

68 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/22(火) 19:00:10 ID:35rPaewwO

バイクは瓦礫の山を飛び越え轍の上に着地した。
バイクのサスペンション越しに振動が内藤の体に伝わる
内藤はバイクのシートの上でゆっくりと顔を上げ、落ち着いた様子で無言で敵を見つめた。

それが余計に気に食わなかったのか、ドクオの怒号が響く。

('A`)「何をしている屑共!!やれ!!」

ドクオの声に反応した怪人達が次々と飛びかかる。
だが内藤にはそれがまるでスローモーションで動いているかのように見えた。

内藤は勢いよくアクセルを吹かした。
前輪を軸に後輪が土埃をあげ、まるでコンパスのように地面に円を描く

69 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/22(火) 19:01:04 ID:35rPaewwO

後輪が回転するのに巻き込まれ、怪人が三人ほど吹っ飛ばされた。
怪人達は台風に襲われた砂の城の如く、崩れさる様に空中で光の粒となっていく。

('A`) (マックスターンで吹っ飛ばしただと!?うざってぇ!!!!!)

光の粒がドクオの横をかすめ、森の中へ消えていく。
ドクオの怒りは最高潮に達していた

('A`) 「テメェら!!!ボヤボヤすんな。死にたくなかったらコロs‥‥‥」

ブオン

ドクオが言い終わらない内に内藤は一つ大きくアクセルを吹かし、怪人に向かって突進した。
ウィリーしながら敵の集団に突っ込み、怪人の一人の頭に前輪を叩きつけた

70 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/22(火) 19:19:21 ID:35rPaewwO

怪人の一人を前輪で踏みつけ、バイクが停止した。

そこでやっと反応した怪人達が一斉に飛びかかる。
内藤はシートに左手を付き、そのまま一番近くに居た怪人の顔面を蹴り飛ばした。
蹴られた怪人は他の怪人を二、三人巻き込み、吹っ飛んだ。

内藤は左手を曲げ、もう一度ひじを勢いよく突っ張り、片手の力だけで頭上に二メートルほど跳躍した。

怪人達も跳び、内藤に襲いかかる。
一人の放った鋭い爪を利用した突きを避け、体勢を崩した怪人の腰に強烈な蹴りを叩き込む。

別の怪人が仕掛けて来た跳び蹴りを真正面から抑えて、そのまま別の集団へ投げ飛ばす。
それを避けきれずまた怪人達が勢いよく吹っ飛んでいった。

75 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/22(火) 19:37:19 ID:35rPaewwO

また別な怪人の胴にチョップを叩き込み、内藤はバイクのシートに着地し た。

そしてもう一度アクセルを吹かしバイクを走らせ、ターンしながら停止する。
二つのタイヤが豪快に土埃を上げる。

横目で残りを確認すると、何人かの怪人達が隊列を組みながら突進してきていた。
それが一列に並んだ瞬間‥‥その一瞬を内藤は見逃さなかった。

内藤は素早くアクセルを吹かし、ヘッドライトの照準を一番前の怪人に合わせた。

 ヽ   !
(= ЮωO) 「VIPビーム!!!!!」

76 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/22(火) 19:39:11 ID:35rPaewwO

ヘッドライトから放たれた一本の光が次々と怪人達を貫く。
とっさに避けた怪人が内藤を狙い、跳んだ。

 ヽ   !
(= ЮωO) 「もういっちょぉぉおおお!!!!」

内藤はそれに向かい今度は左手をかざす。
その瞬間ベルトから激しい光が放たれた。

 ヽ   !
(= ЮωO) 「VIPビィィィィム!!!!」


            ノ ̄ ̄\                       _ _ ___ _ __ _
 ≡. ヽ   ! V /  / ̄ヽ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄__ _ _ __  _ __ _
≡ (=ЮωO)⊃I   /     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄                
≡ (⊃¥)   P  ヽ    ________________  _ _ ___ _ _ __ __ _
 ≡/  ヽ    \ ヽ_/___________________ _ _  _ _  _
            ヽ___ノ


怪人の姿は空中でかき消され、ワンテンポ遅れてあちこちで同時に爆発が起こった。

78 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/22(火) 19:59:55 ID:35rPaewwO

燐光に包まれた森の中で、内藤はバイクから降りてゆっくりとドクオに向 き直った。

ドクオは怒りに震え、それは今にも爆発寸前、と言った所だった。

 ヽ   !
(= ЮωO) 「残るはお前だけだお。覚悟するお!!!!!!」

('A`) 「クッ‥‥ククククク!!!ヒャハハハハハ!!!!」

ドクオは片手で頭を抑え、体を震えさせたまま高らかに笑い声を上げた

('A`) 「‥‥アイツが言っていたな。<お前が気に入った。必ず自分の手で殺す>、と」

ドクオは時折ヒッヒッ、と笑い声を漏らしながら言葉を続けた。

('A`)「気に入った、か‥‥ククク‥‥つくづくヤツとは意見が合いそうにないな‥‥ククククク
    だが‥‥‥」

ドクオは急に内藤を鋭く睨みつけた。

79 名前:
1 ◆ndPkY/NmQ6 投稿日: 2005/11/22(火) 20:05:46 ID:35rPaewwO

('A`)「自分の手で殺す。それだけは同感だ。
    お前だけはは俺が殺してやる。原型も止めないほどにグチャグチャにしてやる。
    ここまでコケにしてくれたんだ。そうしないと気が収まらねえ。」

 ヽ   !
(= ЮωO) 「ふん。言いたいことはそれだけかお?」

内藤はドクオに向かい、戦いの構えを取った。
ドクオは内藤に冷たく言い放つ。

('A`) 「いい気になるなよ。クソガキ。次に会ったとき、お前の全てをぶち壊してやる。
     楽しみに待っていろよ。ヒャハハハハハ」

ドクオの体から激しい光が放出される。
光が収まったとき、ただ笑い声を残してドクオの体は消え去っていた。
やがて、その笑い声も風の音に紛れ消えていった。

 ヽ   !
(= ЮωO) 「‥‥‥‥」


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