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第三話

157 名前: 投稿日: 2005/11/15(火) 00:10:59 ID:RXIF575q0

ツンは沈んでいた。さまざまな負の感情が胸には渦巻いていた
婚約者を勝手に決めた父への恨み
何を考えているのか分からない婚約者への不審
自分の気持ちに気づいてくれない愛する人への悲しみ

そして、自分と、道場主の娘という自分の立場への、激しい憎悪

ツン 「どうして・・・・、どうして私・・・普通の村娘じゃなかったの・・・?」
  「なんで・・・こんな道場の娘なんかに産まれちゃったのよ・・・?」
  「どうして・・・なんで・・・?なんでよ・・!なんで・・・!!」

嗚咽混じりの声は途切れ、同時に吸い込んだ息は、産声のような叫びを産んだ

ツン 「なんで素直になれないのよっ!!!!!」

そうだ。そもそも、さっきあんな言い方をしなければ、
そうじゃない。あいつが旅からかえってすぐに、
そうでもない! あいつが旅に出る前に・・・!!

どうして・・・伝えられなかったのだろう・・・・・・・

161 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 00:25:35 ID:RXIF575q0

ショボンが目を覚ましたとき、既に先生の姿はなかった
代わりに、座布団の上には一本の小太刀と紙切れがあった

('・ω・`) 「う・・・・・うう・・・、先生・・・・?」
      「ん・・?これは・・・・」

紙切れには、殴り書きのように乱れた筆致でこう書かれていた

  ショボンよ。娘のことは頼む。
  キミの父の二の舞を踏もうとも、私は決着をつけるつもりだ
  けっして探さず、娘を、ツンを支えてやってくれ・・・・・

('・ω・`) 「そんな・・・・・」

ショボンは意識を失う直前まで、混乱していた
父を殺した刀狩へのたぎるような、焦げ付いた憎悪
師事する先生から告げられた、親友の、仇との内通

親友を信じたい心と、先生の証言と持っていた確固たる証拠
二つの間で揺らめいていたショボンの心は、

ここで大きく傾きかけていた

164 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 00:44:47 ID:RXIF575q0

ショボンとブーンは幼い頃からの親友であった
ブーンの家は貧しい下級武士の息子
ショボンは城の剣術指南役、ラウンジ流の道場主の息子

身分こそ違えど、同い年の二人には確かな友情があった

('・ω・`) 「やあ、まったかい?ブーン」
(#^ω^) 「待たせすぎだお!! ショボンはまた寝坊かお!?」
('・ω・`) 「うん、またなんだ。謝ってゆるしてもらおうとも・・・」
(#^ω^) 「そんなテンプレはいいから、はやく釣りにいくお!」

家柄のせいか、どこかおっとりしたショボンと
半分農民のような暮らしで、まるで町民そのもののブーン
正反対で、まったくかみ合わないように見えた二人だが、不思議と気があった

('・ω・`) 「あれ? ブーン、釣竿はどうしたんだい? 糸と針とびくしかないじゃないか」
( ^ω^) 「ショボンみたいな立派なのはもってないお」
      「だったら現地調達でも問題ないお!!」
('・ω・`) 「・・・・・なら、ぼくもそうするよ」
(;^ω^) 「せっかくいい釣竿があるんだから、使えばいいお?」
('・ω・`) 「うん。でも、それだと公平じゃない」
( ^ω^) 「気を使う必要はないお!」
('・ω・`) 「いや、僕がずるしたみたいで落ち着かないんだよ」

二人は親友で、よきライバルでもあった

166 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 00:57:51 ID:RXIF575q0

初夏のせせらぎは静かで、やさしい木漏れ日と河で冷やされた風が心地い い

( ^ω^) 「餌をつけるお!」
('・ω・`) 「どっちがいい餌を見つけるか、ここからが勝負だね」

ショボンは石をひっくリ返し、裏にいた虫を手早く針につけた
対するブーンは川辺に腰かけ、何かをよせあつめていた

('・ω・`) 「・・・? ブーン、そこには虫はいないとおもうよ?」
( ^ω^) 「わかってるお? ぼくはこれをつかうお!」

ブーンが握っていたのは、石にこびりついた藻だった

('・ω・`) 「そんなものでつれるのかい? 虫だったら辺りにいっぱいいるじゃないか?」
( ^ω^) 「水の中に放り込んだら、虫がおぼれちゃうお。それはかわいそうだお!」
('・ω・`) 「・・・きみって、本当にやさしいんだね・・・」
( ^ω^) 「ショボンと一緒だお!」
('・ω・`) 「? ・・・ぼくは容赦なく虫を針につけているよ?」
( ^ω^) 「釣竿とおんなじだお。虫がおぼれると思うとおちつかないんだお」
('・ω・`) 「・・・wwwはは、訂正、キミは変わってるよw」

170 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 01:07:00 ID:RXIF575q0

釣り糸を垂れてしばらく、最初に反応があったのはショボンの竿だった

('・ω・`) 「! きた! きたよ!!」
(;^ω^) 「まじかお!?」
('・ω・`) 「・・・ちっちゃい・・・・」
( ^ω^) 「ニジマスだお! これはまだ赤ちゃんなのかお?」

ショボンはブーンの言葉にしばし考え

('・ω・`) 「ぽい」
(;^ω^) 「な!なな、なんでリリースするお!?」
('・ω・`) 「キミの真似だよ」
( ^ω^) 「?」
('・ω・`) 「こんなちっちゃい赤ちゃんをだましたみたいでおちつかないんだw」
( ^ω^) 「もとはといえば、ショボンのまねだおwwそれじゃ一周しちゃうおww」

172 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 01:18:13 ID:RXIF575q0

二人は日が暮れるまでつりを楽しんだ
釣果の方は、ショボンがニジマスを七匹
ブーンは坊主だった

('・ω・`) 「やっぱり、ミミズでも使った方がよかったんじゃないかな?」
( ^ω^) 「別にいいお!ショボンのアシストしてるだけでも楽しいお!」
(;^ω^) 「でも、一匹ぐらい釣らなきゃ負けかなっておもうお」
('・ω・`) 「・・・気が済むまで付き合うよ」
( ^ω^) 「いいのかお!?・・・でも遅くなるお?」
('・ω・`) 「別にいいよ。君のアシストもしてみたいんだ」
( ^ω^) 「ありがとうだお!」

ブーンの言った通り、日が完全に沈み、あたりは真っ暗になっていた

(;^ω^) 「・・・・今日はこの辺にしとくかお・・」
('・ω・`) 「いいのかい? このままだと負けじゃないか?」
(;^ω^) 「そんな日もあるお!」

と、元気よく竿をあげた瞬間、ブーンの竿が大きくしなった

( ^ω^) 「お! おお!! なんだお!? このプレッシャーは!?」
('・ω・`) 「でかい・・・!!」
(;^ω^) 「ちょwwwwww重すぎwwwwwwwwショボン、アシストまかせたお!」
('・ω・`) 「げっとー!」

河にダイブしたショボン
その手には、この日一番の大物。鯉が踊っていた

178 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 01:41:28 ID:RXIF575q0

すっかり暗くなった道を、二人は意気揚揚と歩いていた

('・ω・`) 「その鯉はどうするの?」
( ^ω^) 「先生と、ツンにみせるお!」
('・ω・`) 「ははwブーンは本当にツンさんが好きなんだねw」
(;^ω^) 「そそっそんなんじゃないくぁwせdrftgyふじこ!!」
('・ω・`) 「かんでるかんでる」
(;^ω^) 「そ、そういうショボンはどうなんだお!?」

苦し紛れのブーンの切り返しに、ショボンはちょっとだけ間を空けて

('・ω・`) 「・・・うーん、君と取り合いにさえならなければ、好きかな?」
(;^ω^) 「うほっ!? そそ、そういう趣味かお!?」
       「ききぃいぃき、君の気持ちには答えれないお!?」
('・ω・`) 「何でやねん」
      「そうじゃなくってさ、君との友情が僕には一番大切なんだ」

180 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 01:52:56 ID:RXIF575q0

('・ω・`) 「ツンさんも好きだけど、君と喧嘩するんなら、多分落 ち着かないよ」
( ^ω^) 「ショボンはいつもそれだお。落ち着かないって口癖かお?」
('・ω・`) 「かもねw でも、それが一番ぴったりなんじゃないかな?」
     「君といると、僕はすごくおちつけるんだ」
( ^ω^) 「だったらショボンもニュー速流道場にくればいいお!」
    「ツンもショボンも一緒なら、きっとすっごく毎日たのしいお!!」
('・ω・`) 「うちの道場を潰す気かい?」
(;^ω^) 「あ、ごめんお・・・忘れてたお・・・・」
('・ω・`) 「別にいいよ。 あ、でも一つだけいい方法があるよ?」
( ^ω^) 「なんだお? みんな一緒のいい方法があるのかお!?」
('・ω・`) 「うん。 ぼくとツンさんが結婚すれば、道場も一つになる」
     「そしたら、ツンさんも僕もブーンも毎日一緒に稽古できるよ?」
( ^ω^) 「ソレはとてもいい考えだお!!」
('・ω・`) 「はは、君とツンさんさえ良ければ、明日にでも話をすすめようよ」
( ^ω^) 「うっはーwwwwゆめがひろがりんぐwwwwww」

10分後 ・ ・ ・ ・ ・

(#^ω^) 「ソレは根本的に問題があるお!?」
('・ω・`) 「のりつっこみにも程がある」

184 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 02:08:06 ID:RXIF575q0

その後は、ずっとブーンがぷりぷりと怒りながらの帰りとなった

(#^ω^) 「ショボンの冗談は洒落になってないお!」
('・ω・`) 「こんな顔してまで謝ってるじゃないか?」
(#^ω^) 「もとからそういう顔だお!?」

そんな調子で二人は分かれるところまで来た

('・ω・`) 「それじゃ、また」
( ^ω^) 「まただお〜今日はアシストありがとだお〜!」
('・ω・`) 「ふふ、もう機嫌が直ってるよ。本当におもしろいなぁ」

ニジマスが一杯に入ったびくを担ぎ、ショボンは家に着いた
家には何故か明かりがついておらず、人の気配がまるでしなかった

('・ω・`) 「父上! ただいまもどりました!・・・出かけてるのかな?」

187 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 02:13:44 ID:RXIF575q0

雪駄を脱ぎ、父の書斎を覗く。しかしそこにはやはり父の姿はなかった
土間には父の下駄は確かにあった。家にいるのは間違いない。とすると、

('・ω・`) 「道場のほうかな?」

ショボンの父は、ときどき明かりをつけずに稽古をする事がある
今日もソレをやっているのだろうと思い、なんの気負いもなく
ショボンは道場の戸をあけた

そこには惨劇が待っているともしらずに

190 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 02:21:36 ID:RXIF575q0

戸をあけて、一番に気がついたのは、生臭い血の匂いと、異様な臭気で あった

('・ω・`) 「ち・・・ちうえ・・・・?」

にちゃり。いやらしい感触が、足袋を通して足に伝わる
ぬるぬるとした何かは白い足袋を暗闇ですらわかるほどに汚し
そして染み込んでくる 

('・ω・`) 「父上・・・・? 父上・・! どこです!?どこにいるんですか!?」

ショボンは既に気がついている
父を呼んでも、返事は帰ってこない
足袋が汚れるのも構わず、ショボンはぬるぬるの中へと足を踏み込む

途端、何がやわらかい物を踏んだ感触

感触の正体は・・・・・・

('・ω・`) 「・・・・・・!! 父上ーーーーーーーーーーーーー!!!!」

191 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 02:34:09 ID:RXIF575q0

ショボンの父の葬儀はしめやかに行われた
剣術指南役の急死は町に小さくない動揺をうんだ

一つはもちろん、隣人の死を悼む動揺
もう一つは、剣術指南役という達人が何者かに殺害されたということであった

死体は、右手首から先が切断され、他の傷らしき傷は腹部への深い刺し傷のみ
刀はそのままで、脇差がわりの小太刀だけ、持ち去られていた
右手首の出血が腹部に比べ激しいことから、まず小手打ちで腕を斬られ、
その後に腹部へととどめの一撃をさされた、といったかんじだった

奉行所は今回の事件を武士同士の果し合いの結果と捉えたようで、
詳しく調べることはなかった

その数日後
同様の、刀を奪われた死体が六つ発見された

193 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 02:46:22 ID:RXIF575q0

ショボンの家であるラウンジ流道場は、門下のものをまとめられるカリス マは
ショボンの父のほかになかった
一週間で一人減り、二人減り・・・
一月もする頃には空中分解の様相を呈していた
ショボンの母も、名家である実家に戻ってしまい、道場にはショボン一人が残った

('・ω・`) 「ちちうえが・・・・ちちうえが負けるはずがない・・・・!」

膝を抱え、泣きじゃくるショボンは見るからに衰弱しきっていた
この一月、ろくに食事ものどを通らなかったであろう、血の気を失った肌は白く
頬はこけ、水分の感じられない唇はカサカサになっていた
そのくせ目だけは真っ赤に充血し、ギラギラと怪しく輝いていた

もう、ショボンには絶望しか残されていなかった

198 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 02:54:33 ID:RXIF575q0

家に仕えていた者たちもみな離れ、食事を作るものもおらず、
道場に座り続けるショボンの命の灯は今にも消えようとしていた。そこに、

(;^ω^) 「ショボン! ショボンはどこだお!?」
('・ω・`) 「・・・・!!」

一瞬、ショボンの身体に力が涌いた
しかし、栄養失調の身体は気力だけで言うこと聞くはずもなく
立ち上がろうとして、そのまま前のめりに突っ伏してしまう

('・ω・`) 「ぶ・・・−・・・ん・・・こ・・こ」

水分を失い、砂漠のように枯れ果てた喉は、こすれるような音しかならさない
だが、

(;^ω^) 「ショボン!! ショボン!!! まだいきてるお!!!」
('・ω・`) 「あ・・・・ああ・・・・・・・・」

200 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 03:00:11 ID:RXIF575q0

奇跡、と呼ぶのだろうか?
いや、奇跡という言葉ですらこの現実のなかでは酷く矮小だ
ブーンは確かに、親友のショボンの声を、
生きようとする、希望を望む叫びをその耳に聞いていた

(;^ω^) 「ショボン!!遅くなってすまないお!!」
('・ω・`) 「あ・・・・・さい・・・ご・・・・」
(;^ω^) 「なんだお? 聞こえないお!!」
('・ω・`) 「さいご・・・に・・・きみに・・・あえて・・・よか・・・」

ドゴォッ!!!

ブーンはショボンを思い切り殴り飛ばした

201 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 03:12:06 ID:RXIF575q0

(#^ω^) 「寝ぼけるのも大概するお!!!」
('・ω・`) 「・・・・・・・」

ブーンは強引にショボンの口をあけさせ、水を流し込む
気管に入るとか、息が出来ないとか、まるで考えていない乱暴さで

('・ω・`) 「ちょ・・・!!ブーン・・・しんじゃう・・・!!」
(#^ω^) 「死ねばいいお!!」
('・ω・`) 「・・・!?」
(#^ω^) 「かってに・・・・!かってに一人で抱え込んで!」
     「ぼくに相談もせずに死のうとするやつなんか!!死んじゃえばいいお!!」

ブーンは、泣いていた

(#^ω^) 「死んじゃえばいいお!!ぼくが殺すお!!」
      「一人でなんて死なさないお! 君が死んでも!!」

それは・・・ショボンの望んだ希望とは少し違っていた
暖かく抱きしめてくれる、甘いだけの空想の希望とは違い
現実の希望は、ほんの少し苦すぎた・・・・・

#^ω^) 「ぼくが君を殺した罪を背負ってやるお!!」
      「一生、君の死で苦しんでやるお!!!!」

('・ω・`) 「!!!!!!!!]

202 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 03:20:43 ID:RXIF575q0

ドッゴォオ!!!

( ^ω^) 「ふべらっ!?」

ふらふらと立ち上がるショボン
その拳は、ブーンを思いっきり殴り飛ばしていた

('・ω・`) 「けほっ・・・えほっ・・・本当に殺すきか!?」
     「・・・げほっ・・・だれが・・・君なんかに殺されるもんか!」

ショボンも、泣いていた

('・ω・`) 「君に・・・・!!何も知らない君なんかに・・・!!!」
     「絶対殺されてなんかやるもんかっ!!!!!!」

希望の苦さで泣いたんじゃない
希望の歪な優しさがうれしくて・・・・
希望の苦さが心地よくって・・・・・・

('・ω・`) 「何も知らない君にっ!罪なんか背負わせる訳にいかないだろぉがぁ!?」

二人は、大声を上げて泣いた

203 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 03:31:39 ID:RXIF575q0

ツン 「・・・男の子が二人でなーに大声で泣いてんのよっ!?」
  「武士の子なら武士らしくしなさい!」 

いつのまに開かれたのか、道場の入り口にはツンが仁王立ち・・・・
いや、鍋を抱えているので半・仁王立ちといったところだろうか?

('・ω・`) 「ツン・・・さん・・・?」
ツン 「ほらっ! おかゆ! どうせろくに物も食べてないんでしょ?」
( ^ω^) 「ツン・・・ありがとうだお・・」
ツン 「か、勘違いしないでよねっ!?っわ、私はお父様に言われたから・・・」
( ^ω^) 「それでも、ありがとうだお」
ツン 「ーーーーーっ!! ふ、ふんっ! これ以上は何もでないんだからねっ!!」
('・ω・`) 「・・・・・・・・」

ツンの差し出したおかゆは、手で持てるのだからそれはそれは冷め切っていた
ショボンは、ゆっくりと一口すくい、まるで硬い乾燥パンでも食べるように飲み込む
二口目はもう少し早く。三口目からは、ガツガツと音が鳴る勢いでかきこみはじめた

('・ω・`) 「あったかい・・・・あたたかいよ・・・・・・・」

204 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 03:37:13 ID:RXIF575q0

ツン 「そんなわけないでしょ? こんなに冷めてるのに・・・」
('・ω・`) 「ううん・・・あったかい・・・ほんとうにあったかいんだ・・・」
( ^ω^) 「ショボン・・・・」
('・ω・`) 「ふたりの・・・ぅぐっ・・・二人の気持ちが・・・あったかすぎるよ・・・!」

涙と鼻水で汚れたショボンの顔は、お世辞にも綺麗とは言えなかった
それでも、その場にいた三人の少年少女たちは、紛れもなく美しかったと思う

( ^ω^) 「ゆっくりたべるお」
('・ω・`) 「・・・・うんっ!」

ツン 「・・・ところでさ、ブーン?」
( ^ω^) 「なんだお?」
ツン 「あんた餓死寸前の人間に、水だけ持っていくってどうなわけ?」
(;^ω^) 「・・・・・・・・あ」
ツン 「あ、じゃないでしょーがっ!?・・・まったくアタシがいないとダメなんだから・・・」

206 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 03:47:32 ID:RXIF575q0

ツンとブーンの二人が、何か言い争っている。争っているのに、本当に楽 しそうだ
おかゆを食べながら、ショボンは満たされた気持ちでソレを眺めていた
鍋が空になる頃には、二人の口喧嘩も一応の決着がついたようだ

ツン 「まったく・・・いいことっ!? これから何かするときはあたしに一言断るっ!」
   「分かったっ!?」
(;^ω^) 「ちょwwwwww子供じゃないんだおwwwww」
ツン 「実際子供でしょ? それに大人はこんな大切なことは忘れないっ!」
(;^ω^) 「ぅぐっ・・・・・・・・・・」

単にツンが一方的にやり込めているようにも見えるのは気のせいだろう
と、それを見計らっていたかのように

先生 「ショボン。おちついたか?」
('・ω・`) 「先生・・・・」

214 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 04:28:53 ID:RXIF575q0

一月ぶりに見た先生は、ショボンと勝るとも劣らぬほどにやせこけていた
ショボンが目を丸くして先生を見ていると、

先生 「ん? わたしも、少しやつれたかな?」
('・ω・`) 「先生・・・やつれたなんてものじゃありませんよ!?」

照れるように頭をかくその腕は、骨に皮が張り付いているのでは、というほどで
以前のようにしなやかな筋肉は見られない
目は充血でショボン同様、真っ赤だ。さすがに涙ではなく寝不足のせいだろう
それでも動きに揺らぎがないのは剣術家だからだろうか

先生 「わたしと君の父君は・・・・君とブーン君のような関係だったからね」
('・ω・`) 「・・・そう・・・でした・・・ね」

父の名を出されると、胸が痛む 
ツンとブーン、二人のおかげであいた穴はふさがったが、傷はまだ癒えない
いや、一生この傷はなくならないのかもしれない

217 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 04:37:31 ID:RXIF575q0

先生 「すまない、ココに来るのが遅れた」

と、先生は大きく、腰を90度近くまで曲げ、頭を下げた

('・ω・`) 「や、やめてください! 来ていただいて、お礼を言うべきは僕です」
先生 「いや、謝るべきは私だ」

ショボンは礼を、先生は謝罪を。お互いの意志に奇妙なスレ違いを感じる

先生 「てっきり、君は御母堂の方へ行ったとばかり思っていたんだ」
('・ω・`) 「あの人の話は止めてください」

ショボンの心に、また影がさした

('・ω・`) 「あんなやつっ・・・・・!!もう親でも子でもないっ!!」
先生 「ショボン君・・・・」

十歳前後の子供に、こうまで言わせる母親とは一体なんなのか?
もし、文字でショボンの表情を表現するならばこうなるだろう
      かなしい鬼・・・

222 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 04:49:33 ID:RXIF575q0

ここで一旦時間は遡る

ショボンの父の葬儀を終え、二週間がたった日である
ブーンと先生は、何度となくこの道場を訪れた
だが、そのたびに母親に止められていた

母 「あの子はいま苦しんでおります」
  「今のあの子に、あの人のことを思い出させないよう、会うのはご遠慮ください」

何度行ってもまるで同じ対応だった。そこには子供に対する愛を感じられない
飽くまで自己保身、行って、家名の保身。それがせいぜいだった

件の日、ショボンの母親は実家に帰ることとなった
ショボンの母親は、まだ二十代の半ば。実家にしてみれば、政治の道具としてまだ使える
もちろんこの母親とて、ショボンの父に操を立て続けるつもりはサラサラ無い様子

先生とブーン、そしてツンは実家を訪ねることにした

224 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 04:56:46 ID:RXIF575q0

実家に帰る、ならばショボンも連れ帰るものと三人は思っていた
しかし、現実はそうではなかった

('・ω・`) 「そんな! 父上が亡くなってまだ四十九日もすぎてないんだよ!?」
     「そんなときに実家に戻るだなんて!!」
母 「では貴方は残ればよいではないですか?」
('・ω・`) 「え・・・・・・・・・?」

母のその言は信じられないものであった

母 「確かに、貴方はこの家の跡取であるんですものね・・・」
  「むしろ、ここに残るが道理と言う物でしょう?」
('・ω・`) 「は、母上! 母上は・・・母上は・・・?」
母 「私はもともと家のためにココに来たのですよ?」
  「ここにいてももう家の、そして私のためにはなりませんわ」

('・ω・`) (コノ女ハ・・・・・利益デシカ物ガミレナイノカ・・・・?)

225 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 05:07:40 ID:RXIF575q0

母はそう言って、財産のほとんどを持ち、実家へと帰ってしまった
あとに残されたのは、むかしから仕えてくれた使用人とショボンただひとり
使用人たちは、給金も出ないのにずいぶんと耐えてくれたものだと思う
しかし、奉公人に貯蓄などあるわけもなく、一人、また一人と
新しい奉公先を探しに行ってしまった
最後まで残ってくれたばあやは、何度も、何度もショボンに謝った

ばあや 「若様、もうすわけない。もうすわけありませんだ・・・・」
    「わすも、もう、歳をとりすぎますただ・・・」
    「もう・・・若様のおせわみれんなぐなっぢまいますた・・・」

あのばあやの涙は、一生忘れないだろう
そして、ばあやに涙させた、あの忌々しい女のことも・・・

('・ω・`) (モウ・・・生キルノニモ、疲レタヨ・・・・)

母親の顔、いや、話題を聞くだけで、あのときの絶望が甦ってくるようだ・・・

226 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 05:21:35 ID:RXIF575q0

先生は、そんなショボンの表情を見て取ったのか、優しく声をかけた

先生 「ショボンくん・・・せめてもの罪滅ぼし・・・とは言わんが」
('・ω・`) 「はい・・・?」
先生 「うちの道場に来ないかね?」
('・ω・`) 「え・・・・・・・?」
先生 「・・・それは、ラウンジ流に比べれば小さい道場かもしれないさ」
   「それでも、一人でここにいるより、うちの方が賑やかだと保証しよう」

突然の申し出に、ショボンは目を白黒させる
先生は、それを不満と受け取る

先生 「・・・すまない。うちみたいな貧乏道場はいや・・」
('・ω・`) 「そんなことはありませんっ!!!」

先生がすべてを言い切る前に、ショボンは叫んだ

('・ω・`) 「すみません・・・それよりも、ご迷惑では・・・・」
先生 「ああ、迷惑さ」
('・ω・`) 「え・・・・?」
先生 「ふん・・・・子供が大人に迷惑かけないでどうする?」
('・ω・`) 「え・・・・・?」

228 名前:
投稿日: 2005/11/15(火) 05:35:08 ID:RXIF575q0

いったいこの人は何がいいたいんだ?
ショボンは戸惑う。今まで聞いたこともない言葉に

先生 「君は・・・いい子でありすぎたんだよ・・・なまじ名家なんてもんに産まれたから・・」

先生は、そう言って優しくショボンを抱きしめた

('・ω・`) 「せん・・・・せい・・・?」
先生 「我慢するな・・・もう、君を縛る鎖は無い。いい子でいる必要もなくなったんだ」
('・ω・`) 「ほん・・・とうに、いいんですか・・・?」

ショボンの声は震えていた
涙なんて、さっき出し尽くしたと思っていた
これ以上の幸せなんて、望んだらバチがあたるとおもっていた
でも・・・・・・この人は・・・・・・・

先生 「いくらでも迷惑をかけろ! そのたびに張り倒してやるからな!」
('・ω・`) 「はは・・・・・せんせい・・・それ体罰・・・」

神様は、きっと意地悪だ。絶望の後に、天国を用意するなんて・・・・・・涙が止まらない

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