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第三章

245 名前:
◆fDrvxgSyBQ 投稿日: 2005/11/15(火) 22:13:30 ID:Q4+r58e10

―土曜日
ツンデレは緊張していた。
内藤君の担当医の中嶋バルケン先生が何で私に―
( ,' 3 )―なぜ、その名を知っている?―
荒巻スカルチノフ。
私にとってはある意味忌まわしい名前だ。
( ,' 3 )すいません、バスが遅れて――
ξ゚-゚)ξいえ
( ,' 3 )待ちました?
ξ゚-゚)ξ近いし・・・今来たところです。
いつもワイシャツにネクタイ、白衣姿の中嶋バルケン先生は、私服を着ていた。
黒のセーターにジャケットを羽織っている。
( ,' 3 )行きましょうか
地下鉄に乗った。車内は少し込んでいて、座れなかった。
電車が揺れるたび、中嶋バルケン先生はそっと体を支えてくれた。
――アメリカにいたからかなぁ?
内藤君やドクオ君じゃ、こうはいかないだろう。
3つ目で降り、駅前のカフェに入った。
私はミルクティを頼み、中嶋バルケン先生はブレンドを頼んだ。
店員がそれらを運んできて、ごゆっくり、といい深々と礼をした。
カフェは静かで落ち着いている。
中嶋バルケン先生はなにも入れずにコーヒーをすすり、おもむろに切り出した。
( ,' 3 )この間、―なぜ、その名を知っている?といったよね。
――はい。
( ,' 3 )荒巻スカルチノフ。間違いない?
――間違いありません。
( ,' 3 )それは誰か、知っている?
――・・・・・私の、父です。
( ,' 3 )・・・・・・
――・・・・・10年前に離婚して、それきり会ってませんが。

249 名前:
◆fDrvxgSyBQ 投稿日: 2005/11/15(火) 22:43:21 ID:Q4+r58e10

ξ゚-゚)ξバルケン先生こそ、なぜ父の名を知っているのですか?
( ,' 3 )驚くだろう。荒巻スカルチノフは、私の兄だ
ξ;゚-゚)ξ!そんな―
( ,' 3 )父に兄弟はいないはずだ。と思っているだろう。
ξ;゚-゚)ξ・・・ずっと・・・そうきかされていました・・・
( ,' 3 )養子に出され、姓も変わった。
ξ゚-゚)ξなぜ、養子に・・?
( ,' 3 )・・・母親が違う。私は愛人の間に生まれた。
ξ゚-゚)ξ!
いきなりのことで、混乱してきた。じゃあ、この人は私の叔父さん―
気分を落ち着かせようと、紅茶を飲もうとしたら、手が震えた。
忌まわしい過去。
母の恨み言が聞こえる。
――あの人と一緒に暮らせない。
――さあ、おいで――

250 名前:
◆fDrvxgSyBQ 投稿日: 2005/11/15(火) 22:43:49 ID:Q4+r58e10

ツンデレの父だった荒巻スカルチノフはさる会社の重役をしていた。
離婚の理由は、というと昼のドラマにありがちな「浮気」だった。
ツンデレが生まれてからも浮気は何度かあったが、決定打となったのはキャバクラで働く大学生と付き合って
いた事だった。
ツンデレの母親は離婚届を記入し、それと身の回りのものをおいてツンデレを連れて出て行った。
小学生のツンデレを抱えて働いた。
ツンデレとしては、めったに帰ってこない父にさほど執着もなく、公立の―これまで私立に行っていた―学校に
初めは戸惑ったが、すぐになれた。
そうして母子二人の暮らしを続け、中学に入った年に母は再婚した。
―ジョルジュ長岡です。よろしく。
思春期を迎えていた私には新しい父とうまく話せなかった。
しかしその人は優しく、母も私も頼りになる存在となった。
だからわたしは、実父に対して時折母が漏らした、浮気者でろくでなしというイメージしかもっていなかった。
その、弟が目の前にいる。
たしかに、顔は似ている。
でもこの人は――
内藤君を救ってくれた。立派な医師だ。
( ,' 3 )大丈夫?
――あ・・・ちょっと、父のことを思い出していて・・・
( ,' 3 )そうか。僕は、兄のことを良く知っている。でもまさか、娘だとは・・・知らなかったよ
――私もです。
( ,' 3 )離婚したのは風のうわさで聞いていたがね。
――そうなんですか。
( ,' 3 )ああ。

252 名前:
◆fDrvxgSyBQ 投稿日: 2005/11/15(火) 22:59:44 ID:Q4+r58e10

――私は43だから、スカルチノフとは5つ年が離れている。
アメリカに住む日本人に養子に出された後、本当になに不自由なく暮らした。
君も少しはわかると思うが、荒巻家はいろいろいざこざが多い。
むしろ、出ることが出来てよかったと思っている。
中嶋バルケンはぬるくなったコーヒーをすすった。
そして、ツンデレ―長岡ツンデレ―を見つめる。きれいな子だ、と思う。
( ,' 3 )こんな子が荒巻家にいるのはもったいない。君のお母さんの判断は正しかった
――そんな―私・・・いつも・・・天邪鬼で・・・・
( ,' 3 )自信を持ちなさい。
さてと、といって時計を見る。
( ,' 3 )過去のことを掘り返して悪かった。
――いえ。まさか叔父さんがいるとは・・・
( ,' 3 )戸籍上は何のつながりも無い。私のことは単なる、君の好きな人の担当医と思っていてくれ。
好きな人。
耳が熱くなった。
――好きな人って。
( ,' 3 )はは・・・応援してるよ。

255 名前:
◆fDrvxgSyBQ 投稿日: 2005/11/15(火) 23:09:57 ID:Q4+r58e10

('A`)あー・・・・

土曜日なので、昼まで寝ていた。
――腹減ったなぁ。ヌケドにでもいくか。新メニューのえびバーガー、まだ食べてないし。
パジャマを着替えて外に出て駅前のヌケドに行くが、カップルが多くて欝になった。
隅っこの席で、もそもそとえびバーガーとポテトを食べながらコーラを飲む。
食べ終わるともう二時だった。
が、特にすることもない。
近くの本屋で立ち読みでもするかと店を出て少し歩いたとき――
――ツン・・デレ・・・?
ツンデレがあるいていた。しかも男と。
よくみると、中嶋バルケン先生だった。
――なんでだ?
見失わないように、あとをつけると、おしゃれなカフェに入っていった。
到底入れない。
カフェの向かいのコンビニから見張ることにした。
だが運の悪いことに、カフェの入り口が見えるのはエロ本コーナーからだった。
('A`)あー・・・・

266 名前: ◆fDrvxgSyBQ 投稿日: 2005/11/16(水) 00:28:25 ID:slpGpXev0

エロ本を読みながら、一時間半待った。
大学生であろうバイトになんども睨まれた。
――なんで、こんなことしてるんだろう。
何度目かのため息をつき、エロ本から顔を上げる。
カフェのテラス席の横の、真っ白いドアが開き、見慣れた姿が現れた。
コンビニを飛び出し、信号を無視して道路を渡った。
クラクションを鳴らされたが、どうでもいい。
「ツ・・・ツンデレさん――」

267 名前:
◆fDrvxgSyBQ 投稿日: 2005/11/16(水) 00:28:56 ID:slpGpXev0

内藤君――
ツンデレは、白いセーターに茶色のスカート、ブーツを履いていた。
手には小さなバッグとコート。
髪型はいつもより大人っぽく、後ろで纏めている。
そんなこと思っている場合でCDはないが、可愛いと思った。
中嶋バルケン先生のほうも、私服だ。僕が到底及ばないほど、センスがいい。
まるで―カップルみたいだ。
( ,' 3 )あ・・・ドクオ・・君?
――あー・・・・中嶋バルケン先生・・どうして・・一緒に
( ,' 3 )たまたま会って、カフェによったんだ。じゃ、また病院で。
ξ゚ー゚)ξはい。ごちそうさまでした。
ツンデレさんは、丁寧にお辞儀をした。中嶋バルケン先生は小さく手を振り、駅のほうに歩いていった。
ξ゚ー゚)ξドクオ君、何してたの?
――いや別に・・腹減った、ヌケドで飯食ったところ・・・
なんてかっこ悪いんだろう。CD買いに行くとか、映画見に行くとか・・・いえばいいのに――
『一緒に行かない?』っていえるのに。いや、ツンデレは内藤が好きなわけで――
ξ゚-゚)ξあ、先週のノート、貸してあげたままだったよね?水曜日に提出だから返してほしいんだけど・・・
――あー・・じゃ、俺んちいく・・・か?
ツンデレは頷いた。
そうしてアパートに向かったものの、周りの視線が気になってしかしかたが無い。
どう見えてんだろ。少なくともカップルにはみえまい。
なんでこんなんだろ、自分って。
あ、エロ本収めてたっけ。物が少ないから散らかることはあまり無いが、なんだかきになる。
チン毛落ちてたらどうしよう。
糞ッ、昨日面倒でも掃除しとくんだった。

270 名前:
◆fDrvxgSyBQ 投稿日: 2005/11/16(水) 00:52:07 ID:slpGpXev0

俺は2階建てで全8戸のアパートに住んでいる。ワンルームで、6畳の部 屋だ。
部屋は2階の一番奥で、東向きなので日当たりは結構いい。
――どうぞ
ξ゚-゚)ξお邪魔します
部屋に入ると、脱ぎ捨てたパジャマを慌てて洗濯機に放り込み、コタツの上を片付ける。
エロ本はベッドの下に投げてあったし、変なごみもなかった。ほっとした。
――はい、ノート
ξ゚-゚)ξありがとう
――あ・・・なんか飲む?
バカだ。さっきツンデレはカフェにいたのに。しまった。
ツンデレはにこりと微笑み、いただきますといった。
気を使われてるのか?
――その辺に座ってて。
飲み物といっても、ペットボトルのジュースか緑茶くらいしかない。
悩んだ末にジュースをコップに注いだ。
ツンデレはありがとう、といってジュースを飲んだ。
そして部屋を見回し、一人暮らしの男の子の部屋に入ったの初めて、といった。
ってことは。もしかしてツンデレは―処女なのだろうか?
いや、高校時代に彼氏の一人や二人いただろう。なんたって美人だ。
――俺も・・部屋に女の子が来たのも初めて・・・だよ
しまった。これじゃますます惨めじゃないか。
だが、ツンデレはふぅん、といっただけだった。
部屋は暖房が効いているし、コタツに入っているのに汗が出る。
何とかしなくちゃ――

271 名前:
◆fDrvxgSyBQ 投稿日: 2005/11/16(水) 01:13:03 ID:slpGpXev0

ξ゚-゚)ξドクオ君の部屋ってすっきりしてるね。
――あ、そう?
――うん。それに私、結構片付けるの苦手なの。
――そうには見えないけど・・・
ξ゚-゚)ξいつもよく言われるんだ。
――へぇ・・・
ξ゚-゚)ξ見た目と・・・ギャップがあるって・・・・。天邪鬼だから、私。
仲良くしたいのにそっけなくしたり。小学生の男子みたい。
かわりたいな、とつぶやく横顔。長い睫。たぶん化粧をしていない、白い肌。
―下半身が反応した。ヤバイ。これはヤバイ。どうしよう。
ξ゚-゚)ξだから、素直になろうって決めたの。
―そうなんだ。
ξ゚-゚)ξ私・・・内藤君が好きなの。
強烈なパンチだ。察していても、本人の口からはっきり言われるとものすごいショックだ。
それで、チンコが萎えた。
ξ゚-゚)ξこのチャンスを逃したら、私、一生変われそうにない。だから―
ツンデレはこっちを向いた。
ξ゚-゚)ξ――協力してくれる?
だが断る、と心の中でつぶやく。
――ぼくに出来ることがあるなら
畜生。俺も天邪鬼か。おひとよしか。なさけねぇ。
ξ゚ー゚)ξありがとう!
ツンデレは微笑む。ああ、この笑顔は、俺には作れない。
内藤のことじゃないと、引き出すことが出来ないんだ――。
悔しい。
内藤に嫉妬していた。

275 名前:
◆fDrvxgSyBQ 投稿日: 2005/11/16(水) 01:29:45 ID:slpGpXev0

ξ゚-゚)ξ?ドクオ君?どうしたの?
――内藤のどこが好きなの?
ツンデレは黙った。何か言葉を捜している。
ξ゚-゚)ξ初めて会ったのは、同じ授業を受けてたときなの。
隣に座っていい?って聞かれて―
ξ゚-゚)ξちょっと親しくなって
ξ゚-゚)ξで、ちょっと母と喧嘩したことがあって。――実はうち離婚してて、中学のときに今の父と家族になったの。
前の父のことは良く覚えてないんだけど、母はすごい恨んでて・・・いまはもう思い出すことないけど・・・。
で、その前の父のことをちょっと話したら母が怒ったの。
――なんで?
ξ゚-゚)ξ私は実父のことを知らない。分かれたけれど実の父だから、会ってみたいって言ったの。
昔から、父の悪いところばかり聞かされてきた。でも、それは母から見た父よ。
わたしはなにか嫌なことされたわけじゃない。悪いイメージをおしつけないで、っていったの。
それに、もう大学生だし・・・大人だもの。そんなときに、内藤君は声をかけてくれたの。

( ^ω^)僕は、ツンデレさんの気持ちも、お母さんの気持ちもわかるお。
お母さんだって、ツンデレさんが心配なんだと思うお。自分と同じような目にあってほしくないから
言ってるんだと思うお。
ξ゚-゚)ξ・・・・
( ^ω^)今のお父さんはなんていってるお?
ξ゚-゚)ξ自分で決めなさいって・・・。私は娘を信じているから、って言ったの
( ^ω^)いいお父さんだお。僕は両親がいないからうらやましいお。
ξ;;;;;;;)ξ・・・・

282 名前:
◆fDrvxgSyBQ 投稿日: 2005/11/16(水) 01:47:29 ID:slpGpXev0

ξ゚-゚)ξそれで会いに行ったけど、病気で面会出来なくて・・・手紙 を書いたの
――それで?
ξ゚-゚)ξ渡したその日のうちに電話があったわ。「すまない」って。
その電話で母は、すっかり過去のことを過去として認めることができたみたい。
恨み言を言わなくなった。代わりに、私の生まれたときのこととか話してくれて・・・
荒巻のお父さんは、女の子が生まれたって聞いて、すぐにおおきなクマのぬいぐるみ
かってきた、とか。うれしかった。
ツンデレは少し照れながら、うれしそうに話す。
もう――どうしようもない。
好きで、好きで、たまらない。ツンデレが。
ξ゚-゚)ξ人を好きになるのが怖かった。でも、今は・・・それ以上にうれしい。

――ドクオ君は、すきなひと、いる?

好きなひと。

ツンデレはまっすぐに僕を見ている。

――僕の好きな人は―

――ツンデレさんです

292 名前:
◆fDrvxgSyBQ 投稿日: 2005/11/16(水) 01:59:26 ID:slpGpXev0

ツンデレの目が見開かれた。戸惑いの表情。
想いがあふれたらとまらなかった。
('A`)あの日、初めてあったときから・・・僕は・・・
――僕は・・・・ずっと・・・
ξ;;;;;)ξ・・・
声はだんだん小さくなっていった。ツンデレの顔から目をそらす。
俺のどんな表情してる?きっと、最高に情けない顔だ。
まるで、時が止まったように感じた。
なにか、言ってくれ――
少し目線をあげる。
ツンデレのセーターの胸のふくらみが目に入った。
そして、スカートからのぞいた白い足――
――キャッ!
気がつくと、ツンデレを押し倒していた。
柔らかい体。
以外に大きな胸。
―やめ・・・
スカートの中に手を入れ、太ももをなでる。
セーターを捲り上げ、ブラジャーの上から胸をもむ。
女の子のにおい。なんていいにおいなんだろう――
本能のままに――
パチン、と音がした。

297 名前:
◆fDrvxgSyBQ 投稿日: 2005/11/16(水) 02:04:09 ID:slpGpXev0

頬をぶたれた。
みると、ツンデレが涙目で俺を睨んでいる。
すぐに我にかえった。
――取り返しのつかないことをした。
なんて愚かなんだろう。
すぐに上からどき、ごめん、謝った。許されないのはわかっている。
ツンデレは黙って服を直し、コートを掴み、玄関に向かった。
――ごめんなさい・・・
むなしい言葉が、空を舞う。
ツンデレはブーツを履き、コートを着ると、こっちを見ていった。
――最低。
そう言い放ち、階段を下りていった。
最後のとどめ。再起不能。

ツンデレとも、内藤との関係も終わった。
世界が終わった。

僕は玄関に立ち尽くしたまま、動くことが出来なかった。


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