第四章
346 名前: ◆fDrvxgSyBQ
投稿日: 2005/11/16(水) 18:20:35 ID:slpGpXev0
内藤が入院してから一ヵ月半たった
( ,' 3 )よくがんばったね。もういつ退院しても大丈夫だ。
( ^ω^)ありがとうございますお!
( ,' 3 )薬は飲み続けてもらうけどね。なにかおかしいと思ったら、すぐに
病院に来ることが大事だよ。
( ^ω^)わかりましたお!
( ,' 3 )お友達は最近来ないけど、どうしたの?
( ^ω^)ドクオ君は卒論がいそがしいみたいだお。ツンデレさんは時々来てますお。
( ,' 3 )そうか。じゃあ、退院する日を決めておいて下さいね
( ^ω^)中嶋先生は、アメリカにかえるのかお?
( ,' 3 )年が明けてからね。
( ^ω^)もうすぐクリスマスだお。ひとりでさみしくないかお・・・?
( ,' 3 )はは・・・日本にも知り合いがいるよ。
( ^ω^)そうですかお。
(*゜ー゜)失礼します。先生、お電話です
( ,' 3 )あ、はい。じゃあね。
クリスマスまであと一週間。
――ドクオ君とツンデレさんと3人でパーティでもしたいお。
355 名前: ◆fDrvxgSyBQ
投稿日: 2005/11/16(水) 18:39:34 ID:slpGpXev0
駅前はすっかりクリスマスムードで、ドクオは欝になっていた。
学校は20日から冬期休暇に入る。去年はクリスマスが終わってから実家に帰って
いたが、今年は卒論があるので31日までこっちにいるつもりだ。
――去年のクリスマスはコンビニでバイトしていた。
予想していたとおり、コンドームが次々に売れる。
中学生と思われる男の子がレジにそれを出したときは、首をつりたくなった。
店長から自腹で払ったチキンとケーキを貰った時は、返って悲しかった。
そしてそのケーキを食べ忘れ、正月明けに帰ってきたとき、カビひとつ生えていな
いことに恐怖を感じた。
――もういいや。
カビも生えないケーキみたいなもんだよ、俺の人生って、などとよくわけのわから
ないことを考えながら、いつものヌケドに入る。
ポテトを食べながら、下書き同然のH×Hを読んでいると、珍しくケータイがなった。
内藤からだった。
356 名前: ◆fDrvxgSyBQ
投稿日: 2005/11/16(水) 18:40:35 ID:slpGpXev0
( ^ω^)明後日退院するお。なんか一緒に食べたいお。
11時に、病院の入り口で待ってるお。
内藤のことを忘れていたわけではない。
――そうか、良くなったのか。
初めのうちは、毎日見舞いに行ってたっけ。すぐに、ツンデレさんも一緒に来るようになって。それから――
あの日のこと。
あの日を境に、内藤の見舞いも行かなくなった。
学校でも、ツンデレとはなすことはない。会っても、だまってすれ違うだけ。
――ツンデレも、くるのかな。
もしかしたら、もう二人は付き合っているのかもしれない。
もしかしたら、あの日のことを話しているかもしれない。
361 名前: ◆fDrvxgSyBQ
投稿日: 2005/11/16(水) 18:58:01 ID:slpGpXev0
家で編み物をしていると、内藤君からメールが来た。
明後日に退院するので、11時に病院に来てほしい。
ドクオ君も来るそうだ。
ドクオ君とは、あれ以来話してない。お見舞いにも来てない。
学校であっても、避けてしまう。
ちらりと見た顔は、すごく元気がなかった。
――どうしよう。
私は、できればクリスマスに内藤君に告白するつもりだ。
今編んでいるマフラーもプレゼントする。
――そういえば、あのときのドクオ君に、返事をしていない。
言わなくても、私の気持ちはわかっているけど。
きちんとしなくちゃ。
でも内藤君がイエスというかどうかはわからない――
それを考えたらきりがない。
私は、行くという返事を送った。ドクオ君に必ず来てほしい、とも書いて。
375 名前: ◆fDrvxgSyBQ
投稿日: 2005/11/16(水) 20:54:26 ID:slpGpXev0
退院の日――
朝食の後、一ヶ月半すごした病室を片付けた。
私物のなくなったがらんとした部屋を見ると、なんだか名残惜しい気がした。
――1ヵ月半過ごしたんだもんな。紅葉の始まったばかりの木が、すっかり裸になっているお。
・・・片付けもすんだし、そろそろ下に降りるかお。
荷物を持って、ナースステーションにいる医師や看護師に、挨拶をした。
( ^ω^)お世話になりましたお
(*゜ー゜)いえいえ。お大事に
ノシ(・∀ ・)ノシほんとに良かったおー。いえー
(;^ω^)(これからは斉藤またんき先生にみてもらうけど、だいじょうぶかお・・・?)
担当の看護師は玄関までついてきてくれた。
(*゜ー゜)お友達がくるんだっけ。
( ^ω^)そうですお。
(*゜ー゜)二人とも優しいのね
( ^ω^)大事な、ともだちだお。
しばらくして、ツンデレが姿を現した。
ξ゚-゚)ξ・・・退院、おめでとう
( ^ω^)ありがとうだお!
ξ゚-゚)ξドクオ君は?
( ^ω^)まだだお!でも、きっと来るお!
381 名前: ◆fDrvxgSyBQ
投稿日: 2005/11/16(水) 21:20:08 ID:slpGpXev0
当日までドクオは迷っていた。
――行くって送ったのに。
急に用事が出来たとか、いろいろと言い訳を考えていると時間になった。
えい、なるようになれ。
いつものコートを着て首にマフラーを巻き、病院に向かって歩き出した。
――まず、「退院おめでとう」っていって・・・
――近くのファミレスでご飯食べるっていってたな
――ツンデレさんに会うの怖いな・・・
考えながら歩いていると、病院が見えてきた。
玄関の前に、3人が立っている。
内藤。看護師。ツンデレ。
まず内藤が気づき、手を振った。他の二人も気づき、こちらを見た。
動揺しないように、少しだけ早歩きで近づく。
ツンデレの顔は、出来るだけ見ないようにして。
('A`)退院、おめでとう
( ^ω^)ありがとうだお!心配掛けてごめんお!
看護師は微笑んでいた。ツンデレは――
恐る恐る顔を見た。
ξ゚-゚)ξドクオ君・・・ちょっと言いにくいんだけど・・・
心臓が飛び跳ねる。
('A`)な、なに・・・?
ξ゚-゚)ξコートのボタン掛け違えてる
( ^ω^)ちょwwwwおまwwww
382 名前: ◆fDrvxgSyBQ
投稿日: 2005/11/16(水) 21:37:04 ID:slpGpXev0
(*゜ー゜)よっぽど急いできたのね
(*'A`)(恥ずかしい・・・・)
ドクオ君は顔を赤くして、ボタンを掛けなおした。
すこし緊張がほぐれたところに、事務の人がやってきた。
(・д・)あの、内藤さん?退院の届けが出てないんですけど・・・
(;^ω^)え・・・ちょ、ちょっとまっててお!すぐ戻るお!
内藤君はあわてて退院届けを出しに行った。
いつもの内藤君だ。頼りになるけど、どこか抜けてる。
入院したときは、死ぬんじゃないかと思った。
良かった――
携帯の着信音が鳴った。
あわてて病院の外に出る。―お母さんからだ。
―もしもし?
J( 'ー`)し25日の夜、いつものレストラン予約しといたから、予定明けといてね
―うん、わかった。毎年どおり、7時にレストランだよね?
J( 'ー`)し8時よ。お母さん友達と会う用事があるから、いつもより遅いんだけど・・・いい?
―うん、それじゃ。
384 名前: ◆fDrvxgSyBQ
投稿日: 2005/11/16(水) 21:42:59 ID:slpGpXev0
内藤もツンデレさんもいなくなり、看護師と二人とりのこされた。
――な、内藤がおせわになって・・・・
(*゜ー゜)いえいえ。
――ありがとうございます
(*゜ー゜)それよりドクオ君―
――?
(*゜ー゜)わたしのこと、覚えてない?
――え?
(*゜ー゜)中学のとき一緒だった椎野だけど
――あ―
思い出した。活発で、男の子っぽい感じの子だった。
――何年ぶり?
(*゜ー゜)・・・ドクオ君らしいわ。今気づいたのね。私は一目見てわかったわ。
――ごめん。あの―ずいぶん変わったから・・・
(*゜ー゜)そう変わってないわ。背が伸びただけ
――いや・・・かわいくなった、よ
うわ。なんだこれ。口説くような言い方かもしれない。
こんな台詞、前なら言えなかった。
(*゜ー゜)ほんと?うれしい
椎野は笑った。いつもみる仕事用の笑みじゃない。
心からの――中学生のころに良く見た、懐かしい笑顔だ。
(*゜ー゜)まさか、こんなところで会うとは思わなかった。
――俺も。
387 名前: ◆fDrvxgSyBQ
投稿日: 2005/11/16(水) 21:46:58 ID:slpGpXev0
(*゜ー゜)もう時間ないから、携帯の番号、教えてくれる?
俺は電話番号を口頭で伝えた。椎野はそれをメモに書きとめる。
(*゜ー゜)じゃあ、またね。ゆっくり話しましょう
――うん
思いもよらない再会だった。
ξ゚-゚)ξどうしたの?
――椎野さん、中学のときの同級生だったんだ・・・
ξ゚-゚)ξすごい偶然ね。
――うん・・・・
390 名前: ◆fDrvxgSyBQ
投稿日: 2005/11/16(水) 21:57:38 ID:slpGpXev0
('A`)あの・・・前、俺の家であったこと・・・だけど・・・本当
に・・・ごめん・・・・
ξ゚-゚)ξ・・・・
('A`)許されるとは思ってないです・・・俺、すごい恥ずかしい
ξ゚-゚)ξ私のほうも・・・ごめん。
('A`)え?
ξ゚-゚)ξ好きって言われて驚いたけど・・・すごい残酷な言い方だけど・・・
友達として、これからも、付き合ってほしい。
('A`)うん・・・・
――いいさ。どうせ自分はドクオだから。慣れてるから。でも、今回はちょっと違う気がする。
ツンデレを内藤に譲った。かっこよく引いたんだ。そう思ってみる。
自虐かと思われてもいいや――
( ^ω^)おまたせだお!いこうお!
3人はファミレスで、内藤の退院祝いも兼ねて昼ごはんを食べた。
入院生活や、学校のことを話した。楽しかった。
内藤は調子に乗って⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーンして店員さんに注意されたほどだ。
正直言って、ツンデレへの想いがすっぱり切れたわけじゃない。未練がましいけど。
きっと、時が解決してくれる。
そう思うだけで、前向きになれる。そんな気がする。
ツンデレがトイレに立ったとき、内藤は僕に言った。
( ^ω^)ドクオ、変わったお。
――どこが?
( ^ω^)かっこよくなったおwwww
――はぁ?
( ^ω^)明るいって言うか・・・なんかちがうお!なにかあったお?
――失恋した
(;^ω^)え・・・だ、だれだお?!
――秘密
(;^ω^)な、なんだってー?!
ξ゚ー゚)ξ?二人で楽しそうね。
405 名前: ◆fDrvxgSyBQ
投稿日: 2005/11/16(水) 22:54:33 ID:slpGpXev0
結局、ファミレスには3時くらいまでいた。
俺は用事があるから、と言って二人を残して先に帰った。
おれが帰ると言った時、ツンデレは不安そうに俺の顔を見た。
――がんばれ。大丈夫だ。
( ^ω^)じゃ、気をつけてお。また遊ぼうお。
向かい合って座っている二人を残し、俺は金を払い、ファミレスを出た。
小さな子供が、おもちゃ屋のまえでだだをこねている。
俺にも、あんな時期があったな。
今年は、カーチャンにケーキでも買ってやろうか。そう思いながら、家路を歩いた。
( ^ω^)もうすぐクリスマスだお。
ξ;゚ー゚)ξう、うん・・・
ドキドキして、うまく話せない。落ち着け――
( ^ω^)友達と、パーティとかするのかお?
ξ゚ー゚)ξ毎年、家族でレストランで食事することに決めてるの。
( ^ω^)うらやましいお。
――しまった。内藤君の両親はいないんだっけ。
( ^ω^)ずっと親戚の家にいたけど、あんまりそういうのする家じゃなかったお。
ξ゚ー゚)ξそうなんだ
( ^ω^)うん。あ、すみません、コーヒーのおかわりもらえますかお?
内藤君は、新しく入れられたコーヒーにミルクと砂糖を入れて飲んだ。
――( ,' 3 )自信を持ちなさい。
中嶋バルケン先生の言葉を思い出す。大丈夫。勇気を出して――
ξ゚-゚)ξ・・・内藤くん
( ^ω^)なんだお?
ξ;;;;;;)ξ好きです。付き合ってください。
ついに言ってしまった。心臓が早鐘を鳴らしている。
内藤君――何か言って――
( ^ω^)・・・僕は、そんなにいい男じゃないお・・・・
413 名前: ◆fDrvxgSyBQ
投稿日: 2005/11/16(水) 23:12:16 ID:slpGpXev0
ξ゚-゚)ξえ・・・?
( ^ω^)ツンデレさんは美人だし、もっといい男がいるお
ξ゚-゚)ξ・・・・。
( ^ω^)僕にはもったいないお。
ξ゚-゚)ξわたしのこと・・・・嫌い?
(;^ω^)き、きらいじゃないお!す・・・好きだお
ξ゚-゚)ξそれって、友達として?
(;^ω^)・・・・
ξ゚-゚)ξ・・・・
――女の子として、すきだお――でも・・・
ξ゚-゚)ξ私は内藤君が好きだよ。異性として。ずっと・・・
(;^ω^)・・・・
ξ゚-゚)ξずっと、素直になれなかった。でも、内藤君と出会えたおかげで変われたの
( ^ω^)ほんとかお?
ξ#゚听)ξ嘘言ってどうするのよ!
(;^ω^)(ビクッ)
ξ*゚-゚)ξごめん
( ^ω^)・・・・本当にいいのかお?
ξ゚听)ξいいっていってるじゃない!
( ^ω^)ありがとうだお。うれしいお。
ξ*゚-゚)ξ・・・・
( ^ω^)ぼくも、ずっと好きだったお。
でも、自分に自信がなくて、気持ちに気づかない振りしてたお。
ξ;;;;;)ξそうだったんだ・・・
( ^ω^)うん。これからもよろしくだお。
緊張が解けて、涙がぽろぽろ出てきた。
(;^ω^)!!ど、どうしたお?
ξつ-゚)ξうれしくて・・・
(*^ω^)(泣いた顔も・・・か、かわいいお・・・)
447 名前: ◆fDrvxgSyBQ
投稿日: 2005/11/17(木) 00:51:22 ID:9RMRqB8X0
( ^ω^)そろそろ出ようか?
ξ*゚ー゚)ξうん。
二人は勘定を済ませ、店を出た。
早くも暮れ始めた町を並んで歩く二人。
( ^ω^)(手、つなぎたいお・・・・)
時折触れる手にどきどきしながら、結局駅までなにもしなかった。
ξ*゚ー゚)ξそれじゃ。
( ^ω^)今日はありがとうだお。
ξ*゚ー゚)ξ無理しないで、ゆっくり休んでね。
( ^ω^)うん。
ξ*゚-゚)ξ・・・・。
( ^ω^)・・・・。
何か言いたい。このまま別れたくない。
なんだろう――
内藤は、ツンデレの体を引き寄せキスをした。
ほんの一瞬触れた唇。
( ^ω^)それじゃ。またメールするお!
ξ///)ξ・・・うん
455 名前: ◆fDrvxgSyBQ
投稿日: 2005/11/17(木) 01:08:40 ID:9RMRqB8X0
二人の仲は急速に深まっていった。
初イベントであるクリスマスは映画を見にいくことにした。
付き合って間もないので、十分に計画を練るのは不可能だった。
( ^ω^)じゃ、24日10時に駅前であおうお。
ξ*゚ー゚)ξうん、楽しみ
二人は、スターバックスで話をしている。その姿はどうみてもカップルであった。
ただ、見た目からしてなぜこの二人が?と疑問に思ってもおかしくない。
しかしそれは当人達には、気にならないことだった。
(;^ω^)――そういえば、ドクオはどうしてるお?
ξ゚-゚)ξああ――
('A`)あー・・・ひまだなぁ
学校の用事はすべて終わったし、卒論もはやばやと完成した。
内藤はツンデレとデートだろうし・・・・・
AVでもかりてくるかな、と思ったとき――
携帯がなった。
('A`)もしもし?
(*゜ー゜)ドクオ君?
('A`)椎野さん――
(*゜ー゜)今駅前にいるんだけど、暇?
('A`)?暇だけど・・・・
(*゜ー゜)コーヒーおごるから、こない?
――フラグキタコレ?
戻る 進む